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第33話

涙……止まらない…… …………泣いて、どうするんだ 「ごめん。俺が無神経だった」 そう言って抱きしめられた 違うんだよ。吹雪 お前が悪いわけじゃないんだ 好きだから、苦しい………… 最初から分かってたのに………… ……お前にだけは、 ルイトと比べられたくなかった 声を出さずに泣いた 次から次へあふれて止まらない 「ライトは、ライトの良いとこがあるよ」 吹雪は優しく抱きしめ、頭を撫でてくれた 俺も知らなかった…… 吹雪、こんなに優しかったんだな 仲間意識かもしれない 同じ日に失恋 好きな人の恋人は自分の兄弟 吹雪が俺に優しいのは、先生が好きだと 思ってるから だから………… 知られるわけにはいかない 俺の気持ち 抱きしめられると、幸せで胸が痛い 優しい抱擁に勘違いしそうになる でも、俺は知ってしまった …………好きな人と抱き合う幸せ 体だけでも欲しい そう願ったのは自分だ 吹雪の腕の中は、温かかった…………

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