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第50話

…………手が温かい 朝 目が覚めると吹雪が隣りにいた 吹雪と俺は手を繋いでた 何これ……… なんで、手を繋いでるの 落ちる前に、吹雪の手を掴んだ気がする …………あれから、ずっと? 無防備に寝てる吹雪 寝顔は少し幼い なんだか、どうしようもない気分になって、 吹雪を見つめた ピピピ…… このままで、いたいけど………… アラームが鳴って、そっと手を離した 吹雪………… あまり……こういう事しないで? もっと、好きになっちゃうから………… 「吹雪。起きて。朝だよ。」 大学へ向かう電車の中 満員で揺れる度によろける 体がフラフラする 立ってるの、きつい………… 見かねた吹雪が俺の腰を支えた 「大丈夫か……ライト。 俺に寄っかかっとけ……」 吹雪は無意識なんだろうな………… そっと腰に手を回し、吹雪の胸に頭を寄せた 吹雪の甘い香水の匂いが フワッと香ってきた ………………叶わないって分かってる なのに……なんで、こんなに幸せなの 抱きしめられると、勘違いしそうになる 吹雪は、優しすぎるんだ ただのセフレにこんな事する必要ないのに…… 違うか………… ルイトと、そっくりだから……? ズキズキと胸が痛む 「お前、寝癖酷いぞ」 吹雪が俺の頭をポンと触った 「直して」 そう言うと、吹雪は頭を撫で撫でしてる もういいや…… 考えたって、無駄 今、吹雪の隣りにいるんだから…… 「直んない」 そう言って、笑った吹雪を見つめる 電車………… ずっと、着かなきゃいいのに…………

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