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第51話

満員電車の中、感じるのは吹雪の体温だけ 幸せだな…… でも、後悔もしてる…… ………………本当にこれで良かったのか? 吹雪と寝る度、気持ちが大きくなってく この思いは、いつまで誤魔化せる? 誤魔化せなくなった時、 多分、関係は終わる 吹雪は優しいから、もし俺が、 本気だって分かったら、 距離を置かれるだろう そんなの、耐えられない 吹雪の腰に回してた手に、 グッと力を入れた ………どんなに辛くても、この温かさ、 手放したくない 「ライト?」 「電車の中、暑いから、喉、乾くな」 「……そうだな」 限界まで戦ってやる 吹雪の隣りに居続ける為に…… 駅の改札を出た 「俺、自販機で、何か飲み物買ってくる。 お前、そこのベンチで待ってろ。 何か飲む?」 俺がさっき、「喉乾いた」って言ったから? 困るよ。吹雪…… 優しいと、勘違いしそうになる 「じゃあ、炭酸がいい」 「分かった」 ベンチに座って、吹雪を待っていた時だった 「ライト!」 大きな声で呼ばれて、声の方を向いた 「……拓海(たくみ)」 拓海は大学のクラスメート 吹雪やルイトとも、 サークル(バスケ)が一緒で、 結構、仲の良い奴だ そういえば…… コイツも、俺とルイトを見分けてる 「ライト、顔……赤くない?熱?」 「あ……違うよ。熱じゃない」 「でも赤いよ」 流石にやり過ぎて具合悪いとか、 言えないし…… なんて、言おうか………… そう考えてた時だった 急に拓海に、頭を引き寄せられてて、 気が付いたら、唇が重なってた 「…………な、なっ、何を……」 何をするんだ、そう言うつもりが、 ガバッと抱きしめられて、 もう一度キスされる 「や!やめろよ!」 慌てて拓海を引き離した 信じられない 拓海がこんな事をするなんて………… 「…………ごめん。ライト。 急にキスして……」 「……ど、どうして」 周りが物凄くザワザワ言ってるけど、 それどこじゃない 「好きだ」 「…………え」 なんて……言った…………? 「初めて会った時から、 ずっと好きだったんだ」

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