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第58話
…………『関係ない』
落ち込むな!
俺が言ったからだ…………
『セフレになろう』
お互いを身代わりにして、
体の関係を持ちたい…………
………………俺が言った
そこに感情なんてあるわけない
吹雪の言う事はもっともだ
関係があってはいけない
あるはずもない
感情なんて持ったら、成り立たないからだ
でも………
…………でも
『俺には関係ない』
……………お前の言葉が胸に突き刺さる
胸が痛いよ。吹雪……
「……ライト……泣かないで……」
言われて初めて気が付いた
涙出てる
「どうしよう……」
止まらない
吹雪が見たら、おかしく思われる
「ライト」
「止まらない……………!」
ボロボロ 余計泣けてくる
必死にゴシゴシ擦っても止まらない
「止まらない…………
どうしよう……」
お前の言葉に傷付いたなんてバレたら、
それこそ終わりだ
洗面台で手を洗う音がする
良い言い訳も思いつかない
「……う…………ひっく」
……………もう終わりだ
こんな形で終わるのか…………
「ライト!お前、寝室に行け!
俺が誤魔化して吹雪を連れて帰るから!
あーー鍵は!?」
玄関横の棚を指差す
この顔じゃ何を言われるか、分からないし、
拓海に任せる事にした
寝室のドアの前で聞こえた
「…………ライトは?」
「ちょ……ちょっと、
………調子が?悪かったみたい!
寝た……い……から、帰ってくれってっ!
一緒に!!一緒に帰ろう!……吹雪!!
えっーと?鍵は、あそこ……らしい。
ポスト……に!ポストに入れて…………」
拓海…………
グダグダ過ぎる
気持ちは嬉しいけど言い訳になってない
嘘つけないタイプなんだな……
「じゃ。一言、ライトに言ってから……」
「ふ、吹雪!!
ライトは……その……その!
……き、気持ち悪いの!
気持ち悪いんだ!
可哀想だから、すぐに!
帰ってあげよう!!」
しぶしぶ支度をする音がする
音を立てないようにドアを閉めて、
布団へ潜り込んだ
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