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第81話

体が鉛みたいに重い ……なんか、うるさい けど、目が開かない………… ちょっと静かにして 「…………卜」 「………………イト」 「ライト!!」 目を開けるとそこは自分のベッドで、 目の前に吹雪がいた あれ?もう朝? 「…………吹雪?」 「さっきから、ピンポン、何度も鳴ってる」 「う、うん!」 ピーンポーン 「ライト?」 「どうしよう……起き上がれない………」 ピンポン ピンポーン 「俺、開けてきていい?」 「あ……うん。 頼む。この時間だし、 またルイトが鍵忘れたのかも」 ルイト、また、先生と泊まりだったのかな? ……良かった 服もちゃんと着てる 吹雪が着せてくれたのか………… 変だな。ルイトじゃなかったのか? 戻ってこない 重い体をゆっくり起こす ヨロヨロとドアまで歩き、開けると、 話し声がする やっぱり、ルイトだ ルイトの泣き声…………? 先生とケンカでもしたのか? リビングに入ろうとして、足を止める 吹雪がルイトを抱きしめてた なんで………… ただ、二人が抱き合ってるのを、 ぼんやり見つめた …………別に浮気じゃないのは分ってる ルイトは先生を裏切ったりしないし、 吹雪も人のものには手を出したりしない 多分、先生とケンカして慰めて…… …………抱きしめる必要……ないじゃん ルイトが泣いて抱きついたんだろう 吹雪の手がルイトの背中にあった ……そうじゃない そうじゃなくて………… 思い知らされる …………吹雪はルイトが好き 分かってるのに、なぜ胸が痛む 見ていられなくて、そっと、部屋に戻った 音も立てず部屋に戻って、 声を押し殺して泣いた 止まらない …………何が幸せだ! 俺は所詮、代わりで偽物なんだ………… 「……っ…………」 昨日の言葉もヤキモチみたいな態度も、 ルイトと俺を重ねてるから………… ルイトが先生の前で泣いてたみたいに、 見えたんだろう それで、あんな態度を…… 昨日のキスもHも、ルイトを思って……? 吹雪の優しいキスを思い出したら、 余計、泣けてきた …………ルイトがいなければ良かったのに 俺はなんて酷い奴なんだ 傷ついて泣いてる弟に、 思いやりの欠片もない …………だから、俺じゃなかったんだよ 涙が布団を濡らした こんな想い、いらない………… 涙と一緒に流れて、消えてなくなればいい ………………もう、やめたい 吹雪の事、やめられたらいいのに…………

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