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第94話
『セフレをやめよう』
吹雪に伝えた
「ごめん」
「拓海か………?」
怒ってるみたいな吹雪の低い声
「俺から始めたのに、勝手でごめん」
「拓海と付き合うの………?」
「……………」
付き合うわけない
「お前……
優しい男とやって満足出来るのかよ」
「…………努力する」
誤解してた方がスムーズに済むか……
どうでもいい……
拓海の事、あえて否定しなかった
「物足りなかったら、抱いてやる」
「いらない。浮気はしない」
「………」
…………もう、しないよ
吹雪とはこれが最後
「最後に一回やろうか?これで終わりだ」
…………今日で終わり
誘ったら、吹雪は黙ったまま、
寝室に入っていった
その日、乱暴に抱かれた
手放すよ…………
お前の事、本当に好きだった
溢れそうな涙をグッと堪える
ルイトの代わりに抱かれるのは、
これ以上無理なんだ……
「……んっ!……ハッ……ぅ、うぅん…………」
意地悪なくせに優しいキス
…………今日はしてくれないの?
「……あ……ぁ……はぁはぁっ……や…………」
…………全然、触ってくれない
髪や頬を撫でることも、手を繋ぐことも、
優しく抱きしめられることも…………
ただ、やるだけのセックス
「んぁっ……っ……っ………あ!」
勝手な俺に腹を立てた?
「…………う……吹雪……」
寂しいよ。吹雪
最後だから抱きしめて欲しかった…………
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