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第96話

「ライト!」 「…………拓海……」 駅の近くで、呼び止められた 「…………どうしたの? なんで泣いてるの?」 慌ててゴシゴシ拭う 「吹雪とケンカしたの?」 「なん……で」 「だって…… お前が泣くの、吹雪の事だけだろ?」 「…………」 「…………吹雪の事…………やめたら?」 「やめるって……俺……達には、 最初っから……何もな……い……」 「ライト………」 このまま流されて、 拓海の事を好きになれたら、 どんなに楽だろう………… 「拓海。俺と寝る…………?」 「は、はぁ!?」 「…………いいよ」 今だけでもいいから、吹雪の事を忘れたい 「何、ヤケクソになってるの………… ライトの事、好きだけど、 お前が好きになってくれるまで抱かない。 …………体だけ繋がっても、虚しいだけだろ」 拓海のその言葉に涙が流れた 分かってる ………分かってたんだ 体だけ繋げても虚しいって…… 途中から気が付いてた でも、やめられなかった 吹雪の事が好きだったから 「…………っ……」 拓海が心配そうに頭を撫でた 「泣いていいよ。ライト。辛かったね」 「う……っ……」 吹雪に抱かれたあの日から、 ずっとずっと苦しかった 「俺……!あいつが………… ……すげー好き、だっ……た……っ」 「うん……」 誰かの前で、声を上げて泣くなんて初めて 「側にっ……い、いられるだけで……ひっく ……うぅ……良かった……のに……」 「………うん」 拓海はそっと抱きしめてくれた 吹雪とは違うシトラス系の香りがした あふれる涙が止まらない 俺の想いはどこに行けばいい…… 本当はずっと側に居たかった…… 吹雪………… 心の中で何度、呼んでもお前には届かない 最低な俺は抱きしめてくれるのが、 吹雪だったら良かったのに………… なんて考えながら、拓海の腕の中で泣いた

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