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第101話
「吹雪…………っ」
涙が止まらなくて、吹雪の胸に頭を埋めた
「ぅ…………ふ、ぶき……」
「ライト?」
吹雪が……俺の事、好き……?
信じられない
「…………ひっく」
頭を撫でられた
ふわっと甘い香水の香り
吹雪…………
本当に…………?
本当に手を伸ばしてもいい?
温かい……
長い時間、抱き合ってた
この温もりを確かめたくて…………
先に口を開いたのは吹雪だった
「拓海のとこに行かないで……」
見つめられて、そっとキスされた
優しいキス
まだ現実とは思えない
でも、唇から熱が広がる
軽蔑されるかもしれない
でも…………
「…………付き合ってない」
「え?」
「拓海とは、付き合ってない」
卑怯だって思われてもいい
だけど
俺も伝えたい
「え?じゃ、なんで…………」
「俺、ずっと……嘘ついてたんだ……
数えきれない位、たくさん…………」
きっとビックリするよな
………………どこから話そう
俺の長い長い片思いと、たくさんの嘘
「嘘…………?」
また、じわっと涙がたまる
「吹雪。俺も…………」
…………聞いてくれる?
ずっと言えないと思ってた俺の気持ち
袖でゴシゴシ、涙を拭って覚悟を決める
「…………俺も……吹雪が好き」
多分、顔は涙でボロボロ
格好悪い 初めての告白
「……あ、嵐の事は…………」
吹雪、すごく驚いた顔してる
「先生の事は、なんとも思ってない。
ごめん。好きだって嘘ついてた。
…………高校の時から……
吹雪が好きだったんだ…………」
「何……言ってんの……
高校の時から……?
嵐の事は……嘘……?」
「ごめん」
「セフレを言い出した時から…………?」
………………ずっと、苦しかった
「……ごめん…………どんな形でもいいから、
お前の隣りにいたかったんだ…………」
積み重ねてしまった俺の嘘
「ライト」
「ずっと……ずっと……
お前だけだった…………」
今度こそ自分の言葉で…………
「……ライト」
「狡くて卑怯だったって、分かってる。
でも、お前が…………」
言い終わる前に唇が重なった
「好きだ……ライト……」
痛いくらい、抱きしめられて体が震える
何度も繰り返される甘いキス
髪を撫でられて目が合って、
またキスをして……
「吹雪……俺も…………」
涙、止まらない
好き、大好き。吹雪…………
「俺も大好き……」
堪らなくて、背中に腕を回したら、
吹雪がギュッって抱きしめてくれた
どうしよう……
幸せ…………
吹雪の甘い香りに包まれて、
感じた事のない程の幸せを噛み締めながら、
目を閉じた
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