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第104話

「ライト!」 帰る途中 駅の階段の下から呼び止められた 拓海…… 「…………ライト。今、言ってもいい? サークルは、新年会で言うとして、 拓海には先に伝えたい。 お前、告白されてるし、 他から伝わるよりは、 ちゃんと本人に報告した方がいいだろ」 確かにそうかもしれない 「そうだね……」 階段を上がってきた拓海は俺達を見て、 ホッとした表情になった 「ライト。吹雪。 お前ら、やっと仲直りしたのか。 大学生にもなってケンカとかやめろよ」 心配してくれてたんだな あんなに慰めてくれたのに、 これから傷付ける言葉を 言わなきゃいけないなんて…… 「拓海。俺、ライトに告白して、 付き合うことになった」 吹雪………… 「そう」 拓海…… 俺が投げやりになってた時、いつも、 優しく慰めてくれた ありがとう お前がいなかったら、俺…… そんな言葉は伝えられないけど………… 「…………ごめん。拓海。 お前の気持ち、受け取れなくて 吹雪が好きなんだ…………」 「……そんな事、知ってるよ。  あまり、ライトを泣かせてると、 逃げられるぞ。吹雪。 ……良かったな。ライト…………」  ごめん。拓海 たくさん優しくしてくれたのに…… 拓海は最後まで優しかった でも、傷付いた悲しい顔をしてた それだけ言うと、拓海は帰って行った 「俺達も帰ろう」 「……うん」 ちゃんと、この恋を大事にしよう ずっとずっと大好きだった人 …………この先も二人で一緒にいられるように 吹雪と目が合ったら、ふと手が温かくなった 幸せな気持ちで、吹雪と手を繋いだ

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