107 / 230

第108話

ルイトは可愛い よく笑って、よく泣いて、よく怒る 見るたびに変わる表情 クールな兄のライトとは全然違う 甘ったれで泣き虫 でも、そんなとこも可愛くて好きだった 「先生、格好良いなぁ…………」 スマホの嵐にウットリするルイト 振られるのは分かってるから、 言うつもりはなかった だけど、無防備に向けられる笑顔に、 寂しそうな横顔にふいに手を伸ばしたくなる 「嵐のどこが好きなんだ?」 大人だから? …………優しいから? 「…………全部」 真っ赤になって、 照れ笑いをしたルイトの言葉が胸に刺さる 好きになっても無駄 分かってるよ どうして、自分の気持ち位、 思い通りにならないんだろう 「おはよー!吹雪」 肩をポンと叩かれ、無邪気に触れられる 近すぎる距離 ドキドキしても意味ないのに………… 「吹雪。先生と同じ匂いする! 柔軟剤とかかな」 嬉しそうにルイトが笑う その日から香水をつけた 柔軟剤の爽やかな洗剤の匂いとは、 真逆の甘ったるい香りの香水 別にルイトとどうにかなろうとは思ってない ただ、嵐に似てるとか、同じとか、 言われたくなかったんだ 「あれ?吹雪。香水つけてる?」 「うん」 「なんか、意外………… ずいぶん甘い香りだな………… 吹雪とちょっとイメージ違う」 ルイトが言ってきた 「俺、どんなイメージ?」 「スパイシー?」 「は……ははっ!スパイシーって、なんだよ」 自分の気持を隠すのは上手だったと思う ルイトの隣はいつも温かくて、 ちょっとだけ辛かった

ともだちにシェアしよう!