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第2話

「ちっ、違いますっ……!」 「喋っていると舌を噛むよ」 私の言葉を無視して、彼は歩き続ける。 ーードンッ。 デスクに到着すると、そのままそこへ押し倒された。 私の額に自らの額を当てて、彼は囁く。 「そのまま……力を抜いて」 魔法にかけられたかの様に、ふっと身体全体から力が抜けて、背中がべったりとデスクの上にくっつく。 外されぬ視線と更に近づいてくる彼の顔ーーこの世界には私たちふたりしか存在しないのではないかと錯覚してしまうほど、静かで甘い時間だけが流れた。 顎に手を添えられるとそのまま上を向く様に持ち上げられ、彼の親指が私の下唇をツーと撫でる。 これはふたりの暗黙のルールのようなものであり、私は静かに口を開くと、彼のその細くて綺麗な親指を自らの口内に招き入れた。

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