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第3話

「いい子だね」 そう言って裕一は反対の手で自らのネクタイを緩め、外したそれで私の腕を拘束する。 人間は弱い生き物……快楽に落ちるのなんて、一瞬だ。 頭上で緩く縛られているだけの腕。軽く動かせば簡単に解けてしまうだろう。 しかし私には出来ない……いや、自らの意思でしないのだ。 その考えは読み取られているようで、目の前にいる彼は舌なめずりしながら、満面の笑みを浮かべていた。 「すぐに気持ちよくしてあげるよ」 ベルトを外されながら耳元で囁かれる。 彼の手慣れた手つきのおかげで、私の下半身はあっという間に晒されてしまった。恥ずかしくなって太腿を摩り合わせてみるが、すぐに彼の手により広げられてしまう。 まだ触れられてもいないのに、彼からの視線だけで十分に反応してしまう自身。気づけば自然と息も上がっていた。 「はぁ……はぁ……」 「本当に、弥は可愛いな」 頬に手が添えられ、自らすり寄ってしまう。 「俺だけに見せる顔、見せてよ」 その言葉に対して頷くと、後孔にひんやりしたものが垂らされた。 きっと社長……裕一さんがデスクの引き出しに隠していたローションだろう。 この甘い空気に流されており、既に用意されていたことに全く気がつかなかったのだ。 「力……抜いて」 「んっ……っ」 嫌でも分かってしまう指が奥へと進んでいく感覚に、思わず声が漏れてしまう。 はじめは違和感しかなかったが、彼の優しい指使いで段々とそれが気持ちのいいものへと変わっていく。 「あっ、んあっ……」 自然と声が大きくなり、唇の端からだらしなく涎を垂らし、自らも腰を揺らしてしまう。

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