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第6話

「それなら私が、頑張るしかないですね」 手首が縛られたままの腕をすかさず裕一さんの頭から通し、グッっと自らの元へ引き寄せる。 「……本気にしてもいい?」 そう耳元で囁き、表情を見るために少し距離とる。 彼の瞳に映る私は、はしたない顔をしていたが、今はそんなことどうでもいい。 先ほどまで与えられていた快楽のせいで重くなった腰を無理やり上げ、彼の胸へ飛び込む。 こんなことをされると予想していなかった彼は思惑通り、私を抱きしめながらチェアーへ倒れこんだ。 「可愛い挑発だね」 「貴方はそのまま、大人しく座っていて下さい」 床に膝を付けその場に座り込むと、目の前にあるファスナーを唇で咥え下ろしていく。 ーージジッ……ジジジッ 金属の擦れる音と、自分が興奮して漏らす息の音しか聞こえない。 この行為に必死で彼の表情は見えていないが、微かに香る独特なこの匂いと、先ほどから鼻先に当たる膨らみから、同じ気持ちでいてくれていることが伝わる。 「これ……外して下さい」 元々緩かった為、腕にかけられているだけの状態のネクタイを彼の前に差し出す。 「仰せのままに……」 わざとらしく私に従うような言葉を発した裕一は、優しく微笑みネクタイを外してくれた。 自由になった手は、そのまま彼のベルトへと伸びていく。

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