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式は阿羅々木と親しいようだった。 噂では聞いていた。 孕み筋。 男ながらにしてこどもを授かる特殊な器官を持った者。 世界的にも極稀な存在らしいが。 「あいつ、高校からの外部生なのか」 休み時間、窓際の席で話している式と阿羅々木を中央周辺の席から堂々と眺めながら隹が問いかければ、繭亡は頷いた。 「隹にあんなこと正々堂々言うなんて、式ってかっこいい……」 「発情してんのか、セラ」 「クソタラシと一緒にすんなッ」 「式に好意を抱いては駄目だぞ、セラ」 繭亡の発言をセラ及び隹も聞き咎めた。 「兄さん、それ、どういう意味?」 「もしかして阿羅々木とイイ仲だったりしてな」 大人しい性格で普段は本ばかり読んでいる式だが、阿羅々木にだけは打ち解けているように隹の目には見えた。 それがひどく面白くなくて。 やたら癪に障るというか。 新しい教科書や参考書に名前を書いていた繭亡はため息交じりに二人に答えた。 「阿羅々木とイイ仲になるわけないだろう、式には親に決められた婚約者がいるんだ、男のな」

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