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「……ツガイ……」 濃密な交わりがやっと解かれた式の唇から落ちた言葉。 頬を上気させて喘いでいた彼を視界で堪能していた隹は聞き返す。 「今、何て言った、式」 「……」 答えない式は震えていた。 濡れそぼっていた口元を親指の腹で拭ってやれば、もっと震えた。 「式」 震えを誤魔化すため、式は床に落ちていた絵本を拾い上げ、こどもみたいにぎゅっと抱きしめた。 「その……ああいうの、初めてだったから……」 「お前、何時に終わる?」 「……貸出の受付は五時半終了だから、それまで」 「じゃあ待ってる。一緒に帰るぞ」 さっきの言葉。 隹は本気なんだろうか。 隹のものになる。 そんな世界に辿り着くことができたら……。 「学校生活で何か変わった点はなかったでしょうか、式君?」

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