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11-最終章-「俺は死ぬまでお前を待ってる」

「式部、これあげるよ」 「それは宇野原の通知表だろう、僕はいらない」 「あげるから式部のと交換して!」 「お前なー、宇野原、現実逃避にも程があるぞ」 「ちゃっかり平均達成してる裏切り者の北とは口聞かない!」 クラス全員に通知表が行き渡って賑やかな教室。 明日から始まる休暇に心を弾ませている生徒が大半であり、担任は呆れ顔で注意した。 「来年、君達は三年生になる。次の進路を決める大切な時期に入るわけだから、その自覚を持つように……」 ほとんどの生徒が上の空で聞き流す中、担任の言葉が胸に引っ掛かった式部は唇を真一文字にきつく結んだ。 でも、本当は。 周囲と同様にそれなりに浮かれてもいた。 だって今日はーー 「進路、式部はしっかり決まってそうだよな」 二学期最後の挨拶を終え、帰る準備を始めていた式部は北の言葉に首を左右に振った。 「いいや。まだ何一つ決まっていない」 「何一つって、大袈裟な言い方だな〜」 前方の席からやってきた宇野原を見下ろして「宇野原や北みたいに方向性も定まっていないんだ」と正直に告げる。 「宇野原は就職に有利そうな学科がある専門学校に、北は国立の経済学部を目指しているんだろう?」 「いや、ほんとアバウトっていうか、勉強苦手だから何かしら専門知識とにかく叩き込んで、将来の糸口見つけたいっていうか!?」 「俺も漠然と思ってる程度だぞ」 「それでも十分だ」 三人は廊下に出た。 暖房が効いていた教室より冷気がぐっと増し、北は首をすぼめ、宇野原は式部の腕にしがみついた。 「歩きづらい、宇野原」 「だって寒いんだもん!」 「お前ってほんと何も変わんないのな」 「身長のことか? 身長のこと言ってんのか!?」 「式部はあっという間にみるみる伸びたのにな」 「やっぱ身長のこと言ってる!!」 中学入学時と変わらず騒がしい宇野原、長くつるんでいる北はそんな友達を軽くあしらう。 「そんなに寒いのならマフラーを貸そう」 シンプルに巻いていたグレンチェック柄のマフラーを式部が外そうとしたら宇野原は即座に断った。 「恐れ多いです!」 「それって隹川サンからのプレゼントだろ、やめとけよ、宇野原のヨダレで汚れるぞ」 「俺っ、赤ちゃんじゃないんですけど!?」

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