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また唇を尖らせつつも式部はベッドへ。
ちゃんとスニーカーを脱いで隹川のそばに座り込んだ。
「お前への貢物」
ロンドンで買ってきたクッキーやチョコレートのお菓子、文房具といった小物にクリスマスカードなど、ベッドに不揃いに並んだ隹川からのプレゼント。
式部の滑らかな頬は幼子じみた瑞々しい林檎色に染まった。
「コレ、かけてみろよ」
似合わないとわかりきっているサングラスを式部にかけさせて「やっぱり似合わねぇ」と隹川はご丁寧に感想を述べる。
「似合わないとわかっていて買ってきたのか?」
「これはハロウィンの仮装パーティで獲得したビンゴゲームの景品だ」
そう言って今度は隹川自身がサングラスをかけ、似合い過ぎている恋人にどぎまぎして、式部は照れ隠しにクリスマスカードを拾い上げた。
「綺麗な絵だ。こっちのポストカードも。このチョコレートは前にももらった。この缶は紅茶だった。こっちのクッキーは初めてだ」
「味見してみるか」
隹川はベッドに寝転がったままカラフルな袋を器用に開いた。
バターをふんだんに使ったクッキーを一つ、指先に摘まんで式部の目の前に掲げる。
式部は少し恥ずかしそうにしながらも、特に拒むことなく、年上の恋人による餌付けに甘んじた。
「俺の指ごと食ってもよかったのに」
サクサクと音を立ててクッキーを味わっていた式部は顔を背ける。
「隹川の指なんかいらない、毒がありそうだ」
「毒見してみろよ」
やんわり顎を掴まれて顔の向きを修正された。
熱せられた肌に冷えた指が伝う。
短い爪の先で頬をなぞられる。
「なぁ、式部」
サングラス越しの真摯な眼差しに中てられて、式部は、そのまま隹川に身を委ねかけた。
が、しかし。
「ッ……僕も……隹川にプレゼントがある」
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