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サイドテーブルに置かれていたタブレット端末で確認してみれば現在時刻は深夜の一時過ぎ、だった。 「はぁ……」 夜分に馴染む明かりの中、ひと時の眠りから式部は目を覚ました。 なだらかな背中を向けて眠っていた隹川をベッドに残し、着心地のいいバスローブを羽織って、スリッパも履かずに裸足で洗面所へ向かう。 ……ホテルに着いたのは七時くらいだった。 ベッドの上でプレゼントのやり取りをして、それから二時間、いや、三時間くらい……もしかしたら四時間……ずっと……。 「はぁ」 いつの間に虚脱して眠りに落ちていた式部のため息が、洗面所のひんやりした空気に溶けていく。 汗をかいていた。 白い天井、壁や床はダークカラーのバスルームに入って広めのバスタブにお湯を出し、溜まるまでに歯磨きをしようと鏡の前に戻る。 「……ひどい……」 鏡に写ったボサボサ頭の自分を見て思わず呟いた。 「……ん?」 そして首筋に残る痕に気がついて頬をさっと朱色に染めた。 『毒とドラッグ、最高の相性だな』 式部に指を食まれた隹川はそれはそれは極上の興奮に身も心も射貫かれた。 本能のままに獣さながらに腰を突き動かし、最奥まで貫き、身悶える仮膣に思う存分絶頂の種を撒いた。 目の前で陶然と艶めいていた首筋に容赦なく口づけながら。 「痕、残すなって言ってるのに……」 文句を零して備え付けの歯ブラシに歯磨き粉を乗っけた式部、台詞と裏腹に若干嬉しそうでもあった。 隹川に愛された証。 バスローブの襟元に覗く痕を伏し目がちに眺め、歯磨きをしていたらーー。 「うわっ」 ノックもなしに洗面所のドアがいきなり開かれてびっくりした。 「す、隹川……」 ボクサーパンツのみ身につけた隹川の登場に、さっきまでベッドを共にしていた割に怪訝そうな顔をして首を傾げる。 「そんな格好でウロウロしていたら風邪を引く」 ほぼほぼ裸で雑に髪を括った姿が様になっている隹川は返事もしないで洗面所の中へ。 歯磨き中の式部の真後ろに立った。 「勝手にいなくなるなよ」 バスローブを纏う体に巻きついてきた両腕。 「置き去りにされたら淋しいだろ」 「置き去りになんかしていない、汗をかいたからお風呂に入ろうと思っただけだ」 「勝手に一人でか?」 「隹川、重たい……っ」 歯ブラシを咥えたまま、もごもご会話していたらミント味の唾液が下顎へと伝い落ちていった。 隹川はすかさずベロリと舐め取った。 ぎょっとして赤面している式部に鏡越しに笑いかける。 「鏡の前って興奮するよな、するだろ、なぁ、式部?」

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