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「あ……?」
絶頂の兆しを舌の上で感じ取った隹川は唐突に顔を離した。
「おいで」
今にも達しそうになっている式部をそつがない動作で抱え上げ、床に立たせると、くるりと向きを変えてカウンターに両手を突かせる。
自分のボクサーパンツをずり下ろしてそのまま後ろから……。
「ッ……ッ……ッ……!!」
腰を掴まれるなり、入り口も奥もとろとろになっていた後孔を無慈悲に貫かれ、式部の双眸は反射的に涙を弾いた。
そのペニスも同様に。
怒張した肉杭で仮膣が満たされた瞬間、下腹部で頭を擡げて白濁の雫を迸らせた。
「ッ……は……はぁ……ッ……は……!」
バスローブが引っ掛かった色白の体をビクビクと痙攣させ、式部は冷たいカウンターを空しく引っ掻いた。
「や……だ……」
隹川は底なしの愛情を限界まで膨らませる。
式部がカウンターに縋りついて少しでも距離をとろうとすれば、消極的な腰を掴んで引き留め、より一層我が身に導いた。
「もっと本気で逃げないと。こんな風にすぐ捕まる」
何ともたちの悪い捕食者は最愛なる獲物を思う存分愛でる。
「嫌がった割にーー」
はち切れんばかりの肉欲を健気な後孔奥へ傲然と叩きつけ、伏せられていた式部の顔に手を伸ばし、持ち上げた。
「鏡の中のお前、ヤラシイ顔してるぞ」
「ぅぅ……っ……ぅぅぅぅ……っ」
「……噛んだな、式部」
咽び泣く寸前の式部に指を噛まれた隹川は腹の底から愉悦する。
「そんなに俺にお仕置きされたいわけか」
「ッ、ッ、隹川……ッ……前と全然変わってない……横暴で傲慢で破天荒でッ、意地悪なままだ……ッ」
「いいや、俺はこんなに優しくなったし大分丸くなった」
「どこがだッ、うそつきッ」
式部が悔しそうに罵れば罵るほど傲慢な愛情メーターの針は振り切れそうになる。
「これだからお前は堪らない」
揺らめく背中にのしかかり、厚腰をリズミカルに波打たせ、細やかにうねる密壺を一頻り突く。
喘ぐ唇に好きなだけ噛めと言わんばかりに指を突っ込み、唾液の糸引く口内までねっとりと掻き回した。
式部はもう噛まなかった。
再会した日、逢瀬の夜、隹川が手のつけられない俺様暴君と化すのは多々あることだった。
……いい加減、節度を守ってほしい。
うっすら残る理性は呆れ返り、その反面、以前と同じ執着ぶりで荒々しく求めてくる恋人に体は蕩けていく。
「んっ、っ、ん、っン……ぅぅッ……ッ……ッ……!」
息もつけないほど立て続けに突き上げられた末、仮膣最奥に放たれた絶頂の飛沫。
尻たぶに両手の五指が食い込み、力一杯腰を押しつけられる。
惜し気もなく最後の一滴まで注ぎ込まれた。
「ん、んんっ……ぁ、ぁ、ぁ……また……いっぱい……」
「ン……式部……」
「す、隹川……おふろ……溢れてる……」
「じゃあ風呂でもう一回な」
「!!」
真夜中、獣性が著しく目覚めた夜行性の恋人にまたしても虚脱寸前まで追い込まれる式部なのであった……。
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