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「お前も来いよ」
バスタブいっぱいに溜まっていた贅沢な湯船に一緒に浸かり、宣言通りに一回……ベッドの上へ戻った頃には三時を回っていた。
「来年、俺は三年に上がる前にワークプレイスメント、いわゆるインターンシップに参加する予定だ」
「いんたーん……」
「サンドイッチコースの一環として一年間な。実習先はコンテンポラリーアートのギャラリーに絞ってる」
「さんどいっち……?」
「最近はキュレーターの仕事にも興味が湧いてきた」
「きゅれーたー……」
イマイチ呂律が回っていない式部は、なかなか重要な話をしている隹川を半開きの目で睨んだ。
「それ……今話すことか……?」
「今話なきゃ、いつ話すんだよ?」
「せめて……こういう状態じゃないときに……」
「対面座位でセックスしていないとき?」
一向に冷めやらない熱源を式部のナカに封じ込めていた隹川は低く笑う。
敏捷性に長けたネコ科の肉食獣を彷彿とさせる、雄めく色気を立ち上らせる引き締まった背中。
真新しい引っ掻き傷がちらほら見受けられた。
「……わ、笑わないでくれ、振動が響く……」
バスローブを羽織った式部は全裸である隹川の肩をパチンと叩いた。
「……隹川、大学を卒業したら向こうで就職するのか? それとも大学院に進むのか?」
「こういう状態でそういう話はしたくないんじゃなかったのか?」
「……意地悪め」
「そこはまだ未定だ」
……すごいな、隹川は、考える余裕があって臨機応変で。
……僕だったら事前に事細かに計画を練って、その通りに行動しそうだ。
「お前が高校卒業する再来年の春、俺はワープレで実習中、だから卒業したらすぐこっちに来い」
「……行かない」
「本当に薄情モンだな、お前」
クタクタで疲れきっているのに。
尻丘を掴んで揺さぶられ、しぶといペニスで密壺を擦り立てられて、思考を蝕む勢いの恍惚に掠れた声で式部は鳴いた。
「ゃ……ぁ……っ」
「来るだろ?」
「ぁっ、ぁっ、ぁっ」
「なぁ?」
どさくさに紛れて同意を得ようとしてくる隹川の背中に力任せに爪を立てる。
「俺の背中毟る気かよ」
「っ……ちゃんとした理由もないのに……行けない……」
「俺と暮らすっていう大義名分があるだろうが」
「絶対嫌だっ」
「お前な、ボストンバッグに詰め込んで掻っ攫うぞ」
唇によく馴染んだ猟奇的な台詞を放った隹川に式部はもたれかかった。
「……隹川と見合った人間になりたいんだ……」
静かな夜明け前。
もうじき聖夜が終わる。
「見合ってるとか見合ってないとか下らねぇ」
式部は縋り甲斐のある肩に額をくっつけたまま頭を左右に振った。
「……君は的確に夢を追いかけてる……僕は見つけてすらいない……」
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