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まかさぱんつを履かずに外を出歩くことになるなんて。
「お前、極端に内股だと却って目立つぞ」
「だ、だって……スゥスゥして」
隹川が暮らすマンションから徒歩十分ほどのところにあるファミレスでランチをとることにした二人。
そこへ一人の少女が突然やってきた。
「やっぱり隹川だ」
ノーパンであるせいなのか式部は過剰に驚いた、握ったフォークとナイフはそのままにテーブル横に立った彼女を隹川は横目で確認した。
「ひさしぶりだね」
「久々」
ハンバーグを食べていた式部は、化粧もファッションも完璧な、隹川の前の前の彼女をおずおずと見上げた。
彼女も彼女で式部のことをまじまじと見下ろしている。
「隹川、弟、二人いるの? ぜんぜん似てないけど」
熱々ステーキを冷めない内にあっという間に平らげた隹川はやっとナイフとフォークを鉄板に下ろして首を左右に振った。
「オモチャ」
式部の両頬は一瞬にしてかあああっと熱くなった。
「オモチャ?」
まさか隣に座ってくるとは思っていなかった式部は、紅潮した顔を見られるのが恥ずかしく、ふわりと漂う甘い香りに押されて過剰なほど横へずれた。
「かわい。いーなぁ。わたしにも貸して」
ヒラヒラしたスカートの下で足を組んだ彼女に至近距離から覗き込まれて縮こまる。
「俺専用。無理」
「いーじゃん。ねー? なんて名前?」
「あ、あの」
「答えんな。学校さぼって男と会って今からラブホ行くよーな女なんか無視しとけ」
「さぼってないし、今日創立記念日で休み。あとラブホじゃない、シティホテル」
隹川の随分な言いように怒るでもない彼女は涼しげにそう答え、二人の元を離れ、奥のテーブルに着く大学生彼氏の元へ戻って行った。
彼女だったんだ、多分。
女友達と恋人の区別なんて僕にはわからないけれど、そんな気がする。
二人はマンションに戻ってきていた。
家に帰れない式部はソファにちょこんと座り込み、俯く。
隹川はと言うと。
「……隹川、なにして」
鼻を掠めた紫煙に戸惑って顔を上げればリビングの片隅で喫煙している隹川を見つけ、式部は目を見張らせた。
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