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チャーハンと中華スープ《1》
「ただいまー!初瑪いる?」
帰ってきて “ おかえり ” と言ってもられるのが久しぶりで( 今日まで初瑪とは一緒に帰ってきてたから )嬉しくて大きな声で言いながら、急いでリビングまで行くと、夕飯を作り終えた初瑪がテーブルにご飯を運んでいるところだった。
「…………おかえり、りぃ。もう少し静かに帰って来れないのか。うるさい」
「ごめん!ほんとはもう少し早く帰ってこれたんだけど、急に佐々木さんと打合せ入っちゃって!」
「佐々木さん?」
「俺の臨時の担当者さんのこと。大学卒業したばっかだから普通に若い男の人だよ」
「そうか」
そう言うと初瑪は黙々と作業に戻ってしまったので、俺もリュックを寝室に置き、中から貰ったペットボトルジュースを取り出して、机の上に置く。手洗ってうがいしたら、取りに来て冷蔵庫入れよ。
んで、特にやることないしご飯食べたら、俺は洗い物と洗濯畳んで、したらお風呂入ってあのジュース飲む。
よしっ、完ぺきだ!!!!
急いでかつ丁寧に手洗いとうがいを済ますと、机の上からペットボトルジュースを持ってリビングに戻る。もう、準備は出来ていて後は俺が来て「いただきます」っていうだけに見える。
初瑪に「これしまったら行くから!!」
というと、「冷めるから早くな」と言われたのでバッと冷蔵庫を開けて、バッと中にジュースを入れて、バッと冷蔵庫を閉めた。
「ごめん、待たせた!」
「早く食べろ」
目の前のテーブル席にはチャーハンと中華スープがのっていた。……美味しそう。
「このスープも作ったの?」
「そんな技術ないからインスタントだ」
「チャーハンは?」
「こっちは作った」
チラッと初瑪を見て「いただきます!」と言ってチャーハンを口に入れる。
……………美味しい。普通に美味しい。
黙々と俺は口に入れては飲み込んでを繰り返す。
「…不味いか?」
何も言わずに食べていたのが不安になったのか初瑪が中華スープを飲んでいた手を休め聞いてきた。
「いや、めっちゃ美味しい……ただし、めっちゃ気に食わない」
「何がだ?」
「初瑪が料理出来るイケメンってのが物凄く気に食わない。みんなに教えてやりたい。コイツは不法侵入してキスまでしてくる男だって!みんな見てくれに騙されるんじゃねぇよ!って」
「おまえが馬鹿にされるか、質問攻めにされるだけだと思うぞ」
「くっそ、世界は理不尽だ。俺もイケメンで料理出来るヤツになりたかったぁぁぁ!!」
「りぃには無理だな」
チャーハンを口に持っていきつつ、初瑪が鼻で笑った。ムカつく…でも、美味しい。
そこがまたムカつく…でも
「ご飯を作ってくれてありがと……」
「口にあったならそれでいい」
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