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罠にはまった電話《1》
「……ふ、ぁ……ん、ぁ、……んぅ」
さっきからおかしい。……体がアツい。
数分前から体の内側から熱が生まれるような感覚に襲われていた。ベットから降り、ベットにお腹を向けて腕と頭だけベットに置いているような体制で耐える。何が何だかわからなくて体をくねらせていると、その動きで服が体に擦れてもどかしい熱が生まれる。
何……これ……アツい……
でも俺はしなければならない事がある。
それは電話だ。
さっき、碧とのLINEですっかり佐々木さんに電話するのを忘れてしまった。時間が遅くなる前にかけたいからと、ベットの上にあるスマホを取るために身体を伸ばすと、それにより体に服が擦れてまた熱が生まれる。
「…ぅん……ぁん……ぁ…」
擦れる度に変な声がでて、呼吸が荒くなるのを感じる。やっとの事でスマホをとると、佐々木さんに電話をかけた。
『───はい、佐々木です』
「……もしも、し…佐々木、さん。俺です、李絃です…」
今の状況でもなんとか普通に喋れるかと思ったが、なかなか上手くじゃべれない。
『あ!篠宮くん、どうしたの?』
「…ジュース…飲み、ました。……んぁ、…っ…美味しかった、です。それで、伝えようと…お、もって」
『そっか!ありがとう篠宮くん!…でも、大丈夫?なんか辛そうだけど…?』
「大丈夫…で、す。…ただ、……んぁっ…ちょっ、と…はぅ……体が…アツ、くって……んっ」
『大丈夫!?熱じゃないの?篠宮くん確か一人暮らしだよね?そんなんじゃ危ないから、今から─』
急に目の前に手が出てきて、俺の手からスマホが消え、佐々木さんの声が聞こえなくなった。驚いてその手のいった方向をなんとか見ると、そこにはお風呂上がりの初瑪がいてスマホで会話をしていた。
俺、今…佐々木さんと電話中なのに。
「いえ、結構です。こちらで見ます。はい。ありがとうございました。では」
初瑪はそう言うと電話をきってスマホをベットの隣にある小さな棚の上に置いた。
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