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あ、うん。盛られたな《1》side初瑪
風呂から出てリビングを覗いても、りぃがいなかったので寝室に向かうと中から甘ったるい声が聞こえた。
…………は?
「…ぅん……あ、ぁん……ぁ…」
どう考えてもその声は喘いでるようにしか聞こえない。1人でヌいてんのか? まぁ、それは男の生理現象だから仕方がないがもう少し、こう……なんというか考えてほしい。いくらバイとはいえ、どんな男でもイケるってわけじゃないが何だか気まづい。
部屋に入るのも流石に可哀想だと思いその場を後にしようとしたら、中からさっきとは変わった声が聞こえて足を止める。
「――も、し…佐々―――。俺―す、李――す…」
ところどころ聞こえないが、この感じだと電話でもしているのだろう。
………………………さっきまでナニしてたんだ?
「…ジュース…飲み、――た。んぁ、…っ…美―し――た、です。そ――、伝――う―…お、―って」
ジュースという単語は聞き取れる。どうもジュースをくれたかなんかした人に、お礼の電話でもしているのだろう。何故、今するかは不明だが。そこで俺が中に入ると、りぃは電話に夢中で俺が入ったことに気がついてないようだ。
……そして俺は気づく。
明らかにりぃがおかしいことに。
ベットに体を押し付け、なんとかその体制を保っているような感じで、太ももをもじもじと擦りつけている。話している時の声も息が少し荒く、話途中で声が漏れている。
……………喘ぎ声電話越しに漏れてんぞ、りぃ。
「大丈夫…で、す。…ただ、……んぁっ…ちょっ、と…はぅ……体が…アツ、くって……んっ」
りぃがそう言うと少しスマホを耳元から離すと、思ったよりも相手の声が大きく、少し近づいただけで受話器から聞こえた。
『大丈夫!?熱じゃないの?篠宮くん確か一人暮らしだよね?そんなんじゃ危ないから、今から─』
あぁ、なんとなくわかったかも知れない。
とりあえずりぃからスマホを奪い、話す。
『─行こうか?今篠宮くんの家の近くに偶然いるんだ。だから、行くよ…したら俺が楽にしてあ…』
「いえ、結構です。こちらで見ます」
『え?!誰どちら様?大丈夫?!篠宮くん!』
すべての質問をガン無視し、適当にあしらい切る。
「はい。ありがとうございました。では」
りぃは少し不満そうに俺を見ている。
電話中にいきなりスマホを取られたらそりゃそうだろう。だが、そんな涙目で頬を赤く染めながら、色っぽく息を吐きながら睨まれても怖くない。
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