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いよいよデート…いや、恐怖体験?《2》
「うわっ、初瑪!?ビックリするじゃん!いきなり話しかけんな!」
「広場の隅っこで突っ立って、ぶつぶつ言っていたお前にはちょうどいいくらいだろ」
「そのちょうどいいの意味がわからないわ!」
「で、りぃ。お前は何をしていたんだ」
初瑪は家を出た時の格好とは違う服を着ていた。白と黒を基調としたモノトーンな格好。黒いジャケットに白い英語のロゴが細かく模様らしくプリントされたTシャツ、暗めのジーンズに革製黒いの靴。あんまりそういう服を着たことのない俺には、その服たちのちゃんとした名前がわからないけど、確実に言えることが一つある。
くっそ、カッコイイッ!!!!!!
何なんだよお前!カッコイイじゃねぇか!
男の俺でもカッコイイって素直に思っちゃったじゃねぇか!こんにゃろ!それに!
「なんで髪結んでんの!」
「ダメか?」
「ダメだよ!ムダにエロいんだよ!鎖骨から首にかけてがエロいんだよ!わかれや!」
普段は結んでいない髪を結んでいた。
学校で後ろ姿見る時に結べそうだなぁ……とは思っていたけどほんとに結ぶ姿を見るとは思わなかった。
普段肩にかかるくらいの長さの髪を後ろで結び、一部分だけ長くなっている髪はそのままで結ばれていなく、肩から流れていた。色白の肌に黒髪が映える。
うわぁ!項とか絶対ヤバイ!
まだ、正面からしか見てないけど絶対ヤバイ!
だって後ろの通行人みんな初瑪の事チラチラ見てるもん!この美少年感漂わせやがって!平々凡々の俺が!お前のせいで平々凡々以下に霞むだろ!
「へぇ、エロいのか……」
御本人の初瑪は何か含んだように笑った。
「え、え、何?!何その笑い!絶対良からぬこと考えてる顔だよ、それ!」
「安心しろ俺には何も害がないからな」
初瑪には、初瑪にはだろ!お前には害がないってだけで、俺には大ありなんだろバカ!
「俺に害がないようにしろよ!」
「りぃ」
「あ?何だ…………えっ?!」
初瑪は俺を呼ぶとそのまま俺を抱きしめてきた。身長差的に俺の目の前には、初瑪のエロい鎖骨がチラチラと写っております。はい。
大人っぽい少し甘めのいい匂いするんですけど!?初瑪くんからめっちゃいい匂いするんですけど!?
…………って!
「ここ外!!離せって!!!いいから何も言わずにすぐ離せバカ野郎!!!」
「外じゃなかったらいいのか?」
「いいわけあるかーーーーーーーアホ!!!」
しかも初瑪の胸に顔をぽすっと埋めてる状態で、それに加え、初瑪がわざとぎゅっとしてくるから苦しい。そんな中、小さな叫びをあげてる俺は息がヤバイ。すみません早く離してください!
「息!息!苦しいバカっ!離せって!」
「ん?……あぁ、息か」
そういうと初瑪はしぶしぶ離してくれた。
コイツ何考えてんの!外です!ここ外です!目がついてないのかな?それともあれかな?知能が乏しいのかえ?ふぇ?
「ほんとっ、こーゆーのやめて!!」
「こーゆーのって?」
「だ、抱きしめるとか!!」
「そうか。なら、これはいいな」
─チュッ
「ばっ、ばばッ……バカじゃねぇの!?!?」
幸い口ではなかったがおでこにキスをしてきた。え、もう何。コイツマジでただのバカにしか思えねぇ。は?今、昼!外!人いっぱい!
わかる???
「抱きしめるのがダメならキスだろう?」
「テメェの思考回路がすげぇわ!!!!!」
ああああああ!!言わんこっちゃない!!
聴こえるか???聴こえるかこの声が!!
「え、何あれ?なんかの撮影?」
「あの、メガネの彼めっちゃイケメンじゃない?」
「だよねー!見て見てっ!小さい方の彼もちょっと可愛い感じたよね!!」
「やっぱなんかのドラマかCMの撮影だよ!」
「いいもん見ちゃったねぇ♪」
思ったことと違ったぁぁぁ!もっと貶されるのかと思ったわ!べつに初瑪が貶されるのは存分に構わないけど、被害者の俺まで貶されるのはゴメンだからな!
「ほら、りぃ。手」
何食わぬ顔ですっと俺の隣に立ち、手を差し伸べてくる初瑪。これは何です?え?まさか?
「早く手を繋げ」
「繋がねぇよ!!!!!」
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