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置いてくれてありがとうございます《2》

「ねぇ、今まで初瑪に何回嫌いって言ったっけ?」 「知るか」 「んじゃあさ、それ全部取り消しで」 「は?」 数10分前に店舗に入って、俺はいつものコーナーに立っていた。入る前に何が何だかわからず初瑪に問いただすと少ししか教えてくれず、どうもこの楠堂の書展グループは初瑪のお父さんが社長らしい。 そんでもって、初瑪は将来このグループを継ぐと。初瑪が有名書店の跡取りとか、いきなりすぎて驚きが多すぎて頭がついていかないけど、それはそれでしょうがない。 おいおい詳しく話を聞くことにしよう。 それより今は目の前だ。 俺は初瑪と一緒に、俺の本がいつも置いてあるコーナーの前にいる。そしてすぐ、俺の本を見つける。ものすごく感動…………! この行動はこの本屋さんに来る度にしてるけど、その度に感動する。ほんともう無理。 たまに来た時にお客さんが俺の本を手に取ってたりしてるともうね、うん。 『ありがとうございます!!好きです!!』 って今すぐ駆け寄りたくてしょうがなくなる。 それになんと言ってもこのポップ!!!!! 「ああああああ好き!!!!!」 ほんともうこのポップめっちゃ好き!本紹介とか俺が紹介したらこうなるんだろうなって言うのがそのまんまでヤバイ!とにかくヤバイ!!フハッ、小説家なのに俺の語彙力が足りねぇ! 「いきなり大声をだすな、りぃ。……何がそんなに好きなんだ?」 「このポップ!」 「俺が作ったやつだな、それ」 「マジで?! え?!」 初瑪が作ったんですか!!! 「なぜ嘘をつく必要があるんだ」 「ないないないないないっ!ないです!そんな必要ございません!」 うわぁ!!ほんと無理! 来る度に会いたいと思ってたポップの人が、すぐ隣にいるとかもう無理!それがすっごくむかつく俺様なくせに優しいけど、絶対Sっ気ある俺にとって油断大敵な初瑪であろうともな!! 「りぃ、あまり大声をだすな。店内だぞ」 「わかってるよ!」 この短時間であまりにも驚くことが多いけど、結論は “ 初瑪はなんかすげぇ所のすげぇ息子 ” ってことにしよう。うん。 「なぁ、初瑪」 「何だ」 「好き」 ほんと好き。 このポップつくってくれたり、この本屋に俺の本を置いてくれたり、俺にとってはめちゃくちゃ嬉しいことで……ほんとに感謝だ。 「…………」 「初瑪?どーした?俺なんか変なこと言った?」 初瑪はなんか少し驚いたようなドキッとしたような顔をしている。ん? 「……あっ、好きってゆーのは友達としてのだからな!ありがとうって感じを込めた好きって意味!」 それを言うと初瑪は俺から顔を隠すように後ろを向き、何かぶつぶつ言い始めた。でもそれはほんの数十秒で、すぐに俺の方を向いて何事も無かったかのようになった。 「……そんなことわかってるから安心しろ」 「あ、うん」

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