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初瑪と佐々木さん《2》

「……楠です。初めまして…ではないですよね?昨日電話越しで1度お話したことがありますから」 「……あぁ、君が昨日の電話の子なんだね。だからどっかで聞いたことある声だと思ったよ」 淡々と自己紹介が進んで行く。でも、何だろ。 あきらかに初瑪が、佐々木さんを睨んでるというか嫌っている目をしている。 今すぐこの場から消え去れこのクズがッ! って感じ?ぶっちゃけその目めっちゃ怖いよ。 「貴方は?」 「俺は佐々木。篠宮くんの小説の担当者なんだ」 「そうですか……」 そう初瑪は言ったあとチラッと俺をみた。何で俺はこのタイミングで初瑪にチラ見されるんだ。確認をとっているのか?そう解釈して頷くと初瑪は何かぼそっと呟いて、話を佐々木さんに向けた。 「昨日はりぃにジュースをくださって、ありがとうございました」 「いえいえこちらこそ。篠宮くんが喜んでくれたならこっちも一石二鳥なので」 「はい。おかげで俺もりぃも楽しかったです」 「……楽しかったって?」 「そのままの意味ですが?」 初瑪がそう言うと、佐々木さんは一瞬強ばった顔をした。うおおお初瑪なんか目がハンパなく怖いよ!!! 「うん、そうだよね。ごめんね長話ちゃって!じゃあ、篠宮くんまた近々打ち合わせするから!」 「あ、はいっ!」 佐々木さんは俺に向かってそういい、去り際に初瑪を見て去っていった。 「アイツだな……」 「え?」 やっと席につくと、俺はハンバーガーの包を開けながら初瑪に問うた。 「りぃ、次にアイツに会う予定はいつだ」 「アイツって佐々木さん?」 「それ以外に誰がいるっていうんだ」 いや、アイツって固有名詞じゃねぇし。アイツ=佐々木さんってわかるのは話聞いてたやつだけだからわかんの。はっ!じゃあ、話聞いてた俺がアイツをわからないはずないのか!なら初瑪の言ってる事はあってるのか!俺ってバカ! 「1ヶ月後だな。俺の家で打ち合わせがある」 「せめて今週なら俺も居れたのだが……。1ヶ月後だと、もうりぃの家には入れないな」 「え?何で?別に俺っ家ならいつでも入れてあげるよ?俺しか住んでないしあの家」 「……お前は阿呆か?」 「ごめん、全く理解できない」 俺はハンバーガーを食べながらその続きを聞く。 「俺は仮にも不法侵入者だ。しかもお前の弱みを握って脅して、無理矢理お前に利益のない、理不尽な条件をのませた奴だぞ?お前にはその意味がわかるか?」 …………えっと、初瑪さん? 「初瑪が全く俺と同じこと思っててビックリするわ!!お前も自覚あったのかよ!!」 俺には初瑪がバカとしか思えない。全部、今まで俺にやってきたこと…悪いことしてるなっていう自覚あったんだな!驚きだよ俺はっ! 「……まぁな」 ほんとっ、初瑪って変なところ律儀なのな。 「俺は初瑪との最初がそんなんだって、この1週間過ぎたら『もう会いたくない』何て言わないけど?どうせこれから1年間同じクラスだし、普通にもう友達じゃないの?」 「……はぁ、俺はちゃんとりぃに逃げ道をつくったんだがな。お前がそう思っているならそれでいい」 逃げ道?何じゃそら? 「まぁ、続きは後でにしよう。食べ物が冷める」 「うん。わかった」

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