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俺と電話の男《3》side初瑪

「俺は仮にも不法侵入者だ。しかもお前の弱みを握って脅して、無理矢理お前に利益のない理不尽な条件をのませた奴だぞ?お前にはその意味がわかるか?」 それだけならまだいい。 ………今の俺は、何かりぃに対して、踏み込んでは行けないところまで来てしまいそうになっている。それが危ない。 「初瑪が全く俺と同じこと思っててビックリするわ!!!お前も自覚あったのかよ!!!!」 俺の真剣に考えていた脳内を、思いっきり壊すかのようにりぃが叫ぶ。ここ、まだハンバーガー屋だぞ!と言いたくなるような大きさで。 ……ったく、声が大きい。 「……まぁな」 俺が常識を使わなくなるのは興味対象に対してだけだからな。常識を知らないわけでない。 常識よりも自分の欲に忠実になるだけだ。 そう答えるとりぃは「は?」とでも言いたい顔をしながら俺に言った。 「俺は初瑪との最初がそんなんだってこの1週間過ぎたら『もう会いたくない』何て言わないけど?どうせ、これから1年間同じクラスだし普通にもう友達じゃないの?」 さらっと。 いかにもそれが当たり前のように。 「……はぁ、俺はちゃんとりぃに逃げ道をつくったんだがな。お前がそう思っているならそれでいい」 今ここでお前が突き放せば、俺はりぃにこれ以上関わらなかったかもしれない。 この1週間が終わればこの“興味”も消えるかもしれない。 自分でも、うすうす気づいてはいる。 「まぁ、続きは後でにしよう。食べ物が冷める」 「うん。わかった」 俺がいう、俺の興味対象が何なのかを。

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