107 / 174
1週間最終日《1》
──1週間最終日
あっという間に週末なんて過ぎて、学校に行ったりしてたら、もう初瑪との約束の1週間が今日で終わり……になっていた。
朝も、別に何も変わらなかった。
いつもと同じように起きて、いつものように朝食をとる。たまに初瑪にからかわれて、俺がそれに反応して……そんなんだった。
「どうしたの、李絃~?」
「ううん。何でもねぇよ……」
今は学校で、残す授業もあと一つになっていて。そんな休み時間の時に、前の席の碧が不思議そうに俺を見ている。
不思議なのは俺なんだけどな。
今日から……初瑪が俺の家から、いなくなることを寂しがっている俺がいる。1週間前はあんなに嫌だって思ってたのに、今ではそんなの微塵もなくなっていた。
「李絃?ほんとに大丈夫なの~?さっきからずっとなんかモヤモヤしてるっぽいよ?」
「そんなふうに見えんの?」
「うん!めっちゃ見えますね〜!」
「そんな元気よく言うもんじゃねぇだろ」
「えへへ♪」
「……まぁ、明日になれば何ともなくなってるから気にしなくていいよ。ありがと、碧」
「はいは〜い」
きっと寂しいのは今だけ。
高校入って1年間は1人で暮らしてて、ああやって他人と朝ごはん食べたり、一緒にいたりするのが久しぶりで楽しかったから…………それがまた1人の生活に戻るのが寂しいっていうのがこの“寂しい”って思ってる原因なはず。
だから明日になれば大丈夫なんだよ!!
「おーい、授業始めんぞ!とっとと席につけ」
わなわなと席を立っていたみんなが席につく。
俺の方を向いていた碧もしぶしぶ前を向いた。
ガタガタといろんな音が鳴る中、机をトントンっとされた。何かと思い見ると、初瑪がトントンとしたらしい。
「りぃ、今日先に帰るなよ」
「え……うん」
今までは、何となく一緒に帰ってる感じだったからこうやってちゃんと「一緒に帰ろう」みたいなことを言われたのは初めてで、ちょっと驚いた。
「起立!」
委員の号令がかかる。
ほんのちょっとさっきの言葉が嬉しかった。
ともだちにシェアしよう!