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1週間最終日《2》
「初瑪、夕飯はどうすんの?食べてく?」
「食べる時間があればな」
「ん?どういう意味?」
「言葉通りの意味だ」
放課後どこも寄り道をせずに帰ってきたので、今、俺と初瑪は部屋に向かうエレベーターの中だった。エレベーターが3階につき、降りると初瑪が俺の後ろを歩いてついてくる。それは同じ場所に行くんだから当たり前だけど、いつもは少し斜め前か隣を歩くからな……と思った。
キーケースから家の鍵をだし、鍵を開ける。
「ただいまー」
「……ただいま」
最初は誰も家にいないのに「ただいま」というのをおかしいと思っていた初瑪だけど、1週間もそれを近くで見ていれば慣れるのか今では普通に初瑪も言うようになった。
「りぃ」
そんなことを考えながら靴を脱いでいると、初瑪に後ろから呼ばれたので振り返る。そして返事をする間もなく、またもう一度名前を呼ばれた。
「りぃ」
何?なんて、言えなかった。
──初瑪にキスをされたから。
「ッ!?」
意味がわかんなくてバタバタと体を動かすけど、今の状況じゃ、俺が圧倒的に不利のためどうにもならない。立ったままキスをどんどん深められていく。初瑪は俺の後頭部と腰に手を回し、逃げられないようにしっかりと固定した。
いきなりのことで何が何だかわからない。
さっきまで普通だったじゃんか。
「……んっ…」
初瑪の舌が口内に入ってきて、初めて深いキスをした時と同じように舌を動かしていく。キスなんてうまく出来るはずもなく、漏れるような声が俺の口から出るだけで。こんなことをやって来ている本人の初瑪は、何も言わずに俺の口内を舐めまわしていく。
初瑪との真正面からの喧嘩なら絶対勝てるのに、こうもされると何も出来なくなる。
「……ん…っ」
なかなかキスは止めてくれなくて、それと共に俺の力が抜けていく。
なれないことに頑張るもんじゃない……それに、酸素が足りなくなって頭も回らなくなる。うっ……またこのパターンかよっ!と脳内で思うけど、思うだけでキスはやまない。
そのまま何秒かキスされてたら初瑪はやっと解放してくれて、脱いでなかった自身の靴を脱ぎ、玄関に座りこんでいる俺を抱きかかえて歩き出す。
俺は荷物か!
抱きかかえてというか担いでに近いぞ!おい!
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