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1週間終了!《2》

「寂しいか、りぃ?」 いや、その顔は絶対心配して言ってる顔じゃない。むしろ嬉々としている顔だよな! 「……初瑪じゃなくても、家にいた友達が帰るのは寂しいだろーが。それに1週間って長かったし」 「俺も寂しい」 「どーせ初瑪は寂しく、え?寂しいって言った?」 「あぁ」 「……そっか。なんかありがと」 「何故礼を言う?」 「いいだろ別に!!!!!」 だって、寂しいって言うのって、嫌いなヤツには言わないじゃん。それに笑ってたし。 「さて、帰るか」 「おう。下まで送る」 「いい。その格好で外に出る気か?」 あ、俺……今Tシャツ1枚だっけ。 このまま出たら警察行きだ。 ソッコー捕まる。 それは絶対に嫌だ!! あんな所、2度とお邪魔したくない…………!! 「じゃ、玄関まで送る」 そういって帰ろうとする初瑪の後を追う。 初瑪が靴を履いてる間に家の鍵を開けてやる。 何秒かして、初瑪が振り向く。 「お世話になった」 「どこの時代劇だよ!」 「じゃあ、なんて言うんだ?」 「そこは普通に『楽しかったありがとう』とかでいいんじゃねぇの。『また来るな』とか」 「そうか。そうだな」 「おう」 初瑪ってなんか友達慣れしてない感じするよな。それに性格に似合わない律儀さ。 でも、それが初瑪のいいところでもあるから。 「りぃ」 腕を引っぱられ、すぽんと初瑪に抱きしめられる。 「なっ、何?!」 なんだろ。 今、俺……ドキドキしてる。 すごい心臓がばくばくしてる。 いきなりだから驚いた……とか、そういう感じじゃなくて。 例えるなら── 「もう俺から逃げられないと思え」 ふっと今まで一番優しいキスをされて。 そう言われて、より心臓がばくばくして。 そう。 ──恋と似てる。

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