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初めまして灯輝くん《1》
「りぃ、危ない」
「お、おう」
結局こうなった。
今はカラオケに向かっている途中。
あの後初瑪が「行く」とだけ言うので、全くもって初瑪の心情はわからないが一緒に行くことになった。そして、何故か俺は車道側を初瑪に歩かれている。
そういうことは女の子にやれ。
男の俺にやってもなんか複雑なんだよ!!
「李絃〜今日はねぇ、ケーキ屋さん寄らなくて大丈夫だよ〜♪」
「え、いいの?」
「うん♪灯輝が作って来てくれたのぉ〜!」
へ?マジで?
あんなヤンキーみたいな顔してんのにケーキとか作れちゃう系男子なの?!
前で碧の隣を歩いている金髪くんをじっーと見ると、俺の逆側の隣に来てくれて、自己紹介をしてくれた。
「初めまして、オレ、前原灯輝 って言います。1年ッス。よろしくお願いします」
「あ、俺は篠宮李絃。んで、碧の幼馴染み。よろしくな前原くん」
「あの、灯輝でいいッス」
「そ?じゃあ、よろしくな灯輝!」
「はいッス」
何とも言えないヤンキーっぽさに、合わないほど礼儀正しい1年の金髪くん
……もとい、灯輝だ。
「初瑪は?」
そう言うと初瑪も「楠初瑪。楠でいい」と相変わらず興味ないことには冷たい。それを聞くと灯輝は碧の隣に戻り、手に持ってきた紙袋が碧に当らないように持ち替えていた。
え、なにあの子。偉すぎ。
「なぁ、碧。灯輝と何で知り合ったんだ?部活入ってねぇから部活関係の後輩じゃないのはわかってんだけどさー」
「えっとね〜♪灯輝とは〜、俺がトコトコ歩いてる時に、灯輝がびゅうーーんって来て、その時にぶつかりそうになっちって、ごめんなさい!しようとしたら、灯輝の後ろに見たことある大軍が、どばぁぁぁっていたから、一緒にそのまま追いかけっこしたら仲良くなったの!」
「1ミリも理解出来ねぇよ碧くん!!!」
隣の初瑪も「あれは日本語になっていないとしか思えない」と言っている。わかる。碧の説明は謎な効果音が多過ぎて、どこが肝心かわからない。俺でさえ、全部解読は難しい。
「相澤センパイ。ちょっと静かにしてくださいっスね?」
「うんっ!」
どうやら灯輝が説明してくれるそうだ。
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