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初めまして灯輝くん《2》
「2週間くらい前に駅前に夕飯の食材を買いに
行った帰りに、この辺りで少し名のある
不良の手下に絡まれたんスよ」
また、なんて物騒な。
「オレ、こういう顔してるから勝手に不良で喧嘩しまくってるヤツだって思われがちで、それでたぶん絡まれたんだと思います」
まぁ、灯輝はイケメン類だけどヤンキーっぽさあるからな。俺だって初見そう思ったし。
「その時に急いでて、絡まれたのを無視したんスよ。したらなんか怒り買っちゃったっぽくって追いかけられました。俺は喧嘩とかしたくてするタイプじゃないんで……どっちかっていうと嫌いなんで逃げてたんですけど。相手がしつこくてどうしようかなって思ってたら前見てなくって人にぶつかってしまって。
それが相澤センパイでした」
ああ、何となくわかった気がする。
「謝って、また走ろうとしたら相澤センパイが
『わぁ〜結構たくさんいるね!!俺も付き合ってあげる!』とか言いだして、何もわからず走る相澤センパイを追いかけてたら、いつの間にか振り切れてました。まぁ、出会いはそんな感じです」
とんでもない出会いだよ。
そして俺は灯輝ではなく、碧に話しかける。
「逃げたの偉いな碧」
「でしょでしょ〜♪」
そんな俺と碧を見て、残り2人が不思議そうな顔をする。まぁ、そうだろうな。
「あっ、着いたよ!!!」
そんなタイミングでカラオケに着いた。
「灯輝っ!!ケーキケーキっ♪」
受け付けを済まし、部屋に入った途端碧が灯輝を急かす。部屋は広めになっており、初瑪、俺、碧、灯輝の順番で座った。これが1番安全配置だ。
「わかってますよ、相澤センパイ。まずはちゃんと座って、おしぼりで手を拭いてからです」
「OK!拭いたよ!」
「じゃあ、静かに準備が出来るまで待っててください」
「はーいっ!静かにする!」
「いい子ですね」
…………………うん。
「アイツは相澤の母親か何か?」
「いや、知らん……」
隣で初瑪が言う。俺も同じ意見だ。
灯輝の母力がヤバい。
これだけの会話なのに、何故か灯輝がエプロンをしているように見える……!!
とにかく早くケーキが食べたい本日の主役のために飲み物を取りに行くのは一旦後にすることにした。そんなオカンの灯輝が、紙皿を俺たちの前に配っていく。
用意周到すぎでは?
フォークまであるんだけど!
……って食べる前提だから当たり前か。
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