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気づいてないなら《1》side碧

「ねぇ、李絃」 「ん?何?」 ケーキを切り分けてから1時間が経って、残り少ないジュースを飲んでいる李絃に話しかける。今は灯輝も楠くんもドリンクバーに行っていて、部屋にはいない。それに灯輝に、ちょっとだけ時間稼いで!ってお願いしたから、すぐには戻ってこないんだ。 「李絃さ〜……何、悩んでるの?」 そう言うと、李絃がびっくりしたような顔をする。 ふふんっ!李絃のことでわからない事なんでほぼないんだよ、俺はっ!幼稚園から一緒なんだもんね! 「悩んでなんかねぇし……」 嘘。李絃は知らないだろうけど、李絃って嘘つくとき髪の毛を無意識に触る癖があるんだよ? まさに今がそれだもん! 「嘘だ〜!ほらほら、言ってごらんよ?」 「嘘じゃねぇ……」 嘘じゃなかったら髪の毛触らないでしょ! 「李絃?早く言ってごらんよ」 「だから何も悩んでねぇって」 ああ、もう! 「楠くんのこと?」 そう李絃に言うと、さっきより目立った動揺をする。 「……違う」 「嘘」 「だから、嘘じゃねぇって……」 髪の毛さっきより指で、めっちゃくるくるさせてるけどね。それでも言うか! 「じゃあ、楠くんじゃないことはわかったよ。名前とか出さなくていいから、李絃が今何悩んでるのか言ってごらんよ〜?最近ずっと李絃、スッキリしない顔してるよ?」 「…………まだ、アイツら帰ってこない?」 「うん。時間稼ぎしてもらってるから大丈夫だよ」 チラッと出ていったドアを見ながらそう答えると、李絃がゆっくり話し出す。 「……なんか、モヤモヤすんだよ」 「何に?」 「最初はただムカつくヤツで、イラつくヤツで、自分勝手だし、半分俺様だし、常識なんて通用しないし、興味ないものにはとことん興味ないヤツで…」 「うん。ゆっくりでいいよ」 「でもなんか、実は優しかったり、変なところ律儀だったり、興味あればとことん一緒にいようとするし…なんか変。俺、なんか変なんだ」 「何が変だと思うの?」 「……ソイツが他のヤツといると、なんかモヤモヤするんだよ。別に俺のじゃないし、そんなのはソイツの勝手なのはわかってんだけどなんかモヤモヤする……」 「李絃は、その子がほかの人といるのが嫌なの?」 たぶん、李絃はちゃんと言ってあげないとわからないんだと思う。李絃はいつも遅れて気づくから。 「……わかんねぇ。ただ、俺とずっと一緒にいたのに約束終わってから、全然一緒にいられなくなって。話しかけて来る時だってあるし、避けられてるわけとかじゃないのに……なんか寂しい。約束で一緒にいた時の方が、もっと仲良かった、気がする。」 ………………李絃。

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