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犯人は《4》

「キスしようか篠宮くん」 「……ッ!」 何を思ってか、いきなり佐々木さんが俺にいう。 死んでもしたくねぇ! キスは遊びでするもんじゃないんだよ。 「嫌だ…ッ!…キスは、んっ……好きな、人、っ、としか、んぁ……したく、ねぇ!」 キスは好きな人とするものだから。 「俺は篠宮くんのことが好きだよ」 そんなこと言われても何も嬉しくない。 気持ち悪い、離れて。 近づいてくんな! 佐々木さんの顔がどんどん迫ってくる。 嫌だ嫌だ嫌だッ、したくない! ───初瑪とじゃなきゃしたくない! 「ねぇ、篠宮くんは誰が好きなの?」 嫌だ……だけど、もう、抗えない。 もう、自分にまで嘘はつけないほどになっていた。嫌だよ、助けて。助けろよ。 「……初瑪」 「りぃから離れろ!!」 リビングのドアが開く音と共に、今1番聞きたかった人の声が聞こえた。

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