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認めた好き《1》
「チッ、もう来たの?予想より早いっていうか、本来の予定時刻ぴったりじゃん」
「いや、5分前にはもういたがな。少々準備や必要なものに時間をとられてしまっただけだ」
「へー、そんな無駄なことしている間に篠宮くんがもっと酷いことされていたらどうしてたの?」
「無駄なことではないがな」
初瑪の顔が見たくても、初瑪がこの場にいることに安心して、涙が溜まってきて、視界が悪くなる。
声だけでわかる。
初瑪は、いつもと変わらない。
「どういうことかな?」
それを聞くと初瑪がクスッと笑った。
「お前の車のナンバーと、俺が来てからの数分間の会話の録音。それとお前の会社に連絡しておいた」
「……は?」
「今すぐりぃから離れれば、警察には連絡してやらないが?」
佐々木さんの体が強ばるのがわかる。すっと俺から手を離し、そのまま俺から離れる。それを見ると初瑪が、またクスッと嘲笑う。
「……というと思ったか?お前がやったことは立派な犯罪だ。俺は犯罪者を野放しにするほど優しくないんでな。まぁ、逃げるなら今のうちだ」
「……なっ?!」
「ほら、さっさと消え失せろ。クソがッ」
ドスのかかった初瑪の苛立ちを含む声。
正直、俺まで怖いと思ってしまった。
佐々木さんは急いで、その場から立ち去る。
でも、もう遅かったみたい。外からはパトカーのサイレンの音が聞こえていた。いなくなったのを確認すると、初瑪が俺によってくる。
さっきとは比べ物にならない優しい声をして。
「りぃ、大丈夫か?」
何も言えない。
好きと認めてしまったら好きとしか思えなくて、まともに顔さえ見れない。こうやって心配してくれることが嬉しすぎて、ただただ頷くことしかできない。
「大丈夫じゃない、よな……遅くなって悪かった」
謝らなくていいのに。
だって、初瑪はちゃんと来てくれたじゃんか。
俺の手首にされていたネクタイを解き、そのままゴミ箱に捨てる。そして、ゆっくりと俺を抱きかかえ、空いたソファーに座ると、俺を向かい合わせで膝の上に座らせる。
「……んっ、ぁ…」
まだ効き目が10分ほど残っているこの体は、こんな時さえ反応する。
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