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認めた好き《3》side初瑪
「何故俺の顔を見ようとしない」
「……何でも、いいじゃんか……っ」
「良くない」
俺はそのままりぃの耳に甘噛みをする。
どうなるかわかっていての、この行動。
「んひゃっあッ……!」
甲高い声をあげると同時に、りぃの顔が上がる。先ほどのような悲しい色はしていない、りぃの瞳。アイツの下にいる時のりぃの瞳の色はとても悲しそうで、影って見えたから。
「りぃ」
名前を呼び顔を近づけると、りぃは何を思ったのか目を閉じた。
「りぃ」
もう一度名前を呼び、そっとキスをする。
りぃは俺のじゃない。
わかってるんだ。
それでもお前を俺のものにしたい。
だから、りぃは “ まだ ” 俺のものじゃない。
そう思わせてくれ。
「初瑪」
りぃが俺の名前を呼ぶ。黙ってりぃを抱きしめながら、次の言葉を待つ。りぃの瞼はだんだん落ちていき、寝るんだな…と思った。
『おやすみ、りぃ』
と言おうとした時、それれよりも先にりぃが俺に言った。
「……ありがとう」
安心したように、りぃは笑った。
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