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聞こえない宣言《2》side初瑪
「りぃ」
あぁ、好きだな……そう、ただ純粋に思う。
どこが好きだなんて言われたら答えられないだろうが、この “ 俺のものだ ” という気持ちは好きとしか例えられない。
ただ所有物に対する執着心ではなく、そばに置くことで安心して、心が温かくなるようなこの気持ちはなんて言うのだろうか。
好きとしか例えられないと言ったが、俺は今までちゃんとした恋なんてしたことがない。
恋なんてわからない。
でも、りぃとなら…。
りぃに抱くならわかる気がする。
今までにない、このりぃに抱く感情を俺は知らない。他の人じゃなくて、りぃ相手で良かったとさえ思う、この、温かくて切ない感情。
「……んぅ」
りぃが声を漏らす。
先ほどのような悲しい声ではない。
そんなりぃを抱きしめる。あったかい。
「お前はどう思っているんだろうな……」
お前は俺のことをどう思ってるんだ、りぃ?
よく思われてるなんて思っていない。
ましてや、お前も俺が好きなんてことは微塵も考えていない。俺と一緒にいたくないほど嫌いだと思ってくれていなければ、それでもいいかもしれない。
だが……
「俺はそれで満足することはないだろうがな…」
全て俺のこと思っていることなのに、正反対のことを思っている俺が馬鹿馬鹿しく思える。どれが本当の気持ちなのかなんて聞かれても、全て本当だ、としか言えないくらい……自分でもわかっていないのだから。
あぁ、手に入れたい。
この手でその穢れを知らない瞳を汚したい。
その抱いたことも抱かれたこともない、
その純潔な体をこの手で汚したい。
俺の手でお前を汚して俺色に染めあげたい。
そして、ゆくゆくは全部、全部を。
どうすればお前は手に入る、りぃ?
男を本気で落とすなんてした事がなかったが、俺に不可能はほぼないに近い。
「りぃ」
俺はお前を3日で落としてみせる。
「おやすみ」
りぃを抱きしめながら、そっと目を閉じた。
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