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聞かされた宣言《4》

「俺の中ではデートは好きな人同士がするもんなの!遊ぶのは仲良い子っち!デートとただの遊ぶじゃ心境が違うんだよ!ドキドキが違うの!」 「ドキドキが違うwwww」 「現代っ子風に語尾で笑うな!!」 「フッ。そう言えば、りぃはあの時ドキドキしたのか?」 唐突に爆弾を落としてくる初瑪。 あの時ってあの時だろ。 本屋さん行ったり、ハンバーガー屋行ったりした時の初瑪がいうデートの時だろ?あの時はまだ初瑪のこと好きじゃなかったから、あ、いや?好きだったけど、俺自身がそれに気づいてなかった感じだったんだっけ? ま、それは置いといて。 それを確認したところで俺が今、恋愛感情で初瑪のことが好きっていうのは変わらないし。 「ドキドキしたって?」 「お前がいうドキドキが違う、のデートの時に使うドキドキはりぃにはあったのか?」 「oh......」 なかったよな? 「あっ」 「ん?」 「何でもないっ!」 たぶん道端で一回初瑪の笑顔にドキッとしてる気がする。夕日になってて、帰るとき。あの時からなんかもうドキドキしてたんだな……なんか懐かし。 「あるのか?ないのか?」 初瑪が急かしてくる。 お前はなんでそんなにそれを知りたいんだよ! 「ねぇよドキドキなんて。楽しかったけど」 半分本心。半分嘘。 それを聞くと初瑪は少しも真面目な顔して言った。 「残り2日で落としてやるよ、りぃ」 は?落とすって何に? 「恋に、な」 え? 「…………今、なんて?」 俺の聞き間違いじゃなければ、今初瑪は 「残り2日で恋に落としてやる、と言った」 こ、こっ、恋とは?! 「ほんとは3日だったけどな。言う前に今日が終わってしまったから、残り2日だ」 いやいやいや、いやいやいやっっっ!! そういうことを聞いてるんじゃなくて?!  理由を聞きたいの!!!! テンパり過ぎて語彙力ぶっ飛んだけどね?! 「な、何で?!」 だって、恋に落とすってアレじゃん。初瑪が俺に、初瑪を好きにならせるってことじゃん。 …………どうしてそんなこと、してぇんだよ。 俺の気持ちでそんなに遊びたいのかよ。 それとも自分の技力を試したいだけかよ。 「何でだと思う?」 知るわけないだろーがっ!!! あまり動揺すると俺が初瑪のことを好きだってバレてしまう。バレちゃいけない。そしたら、遊ばれて一緒にいられなくなる。気持ちを伝えなければ、ずっと一緒にいられるのなら俺は迷わずそっちを選ぶ。 ……だから、俺はいつもの俺を演じなきゃ。 「初瑪の考えてることなんてわかると思うか」 「今はまだわからないだろうな」 今は……ってなんだよ。そんな、これからも一緒にいる前提みたいに言うなよな。 先のことなんて考えたくないから。 「なぁ、りぃ」 「んだよ、今度は何で遊ぶんだよ」 「遊ぶ?」 「今の恋に落とすってやつも遊びなんだろ」 「俺が遊びでこんなことを言うと思うのか?」 「思う」 「即答だな」 だって、その言い方だとまるで…… 「俺は本気だ」 初瑪も、俺のこと好きって思ってるみたいじゃねぇか。そんな期待させるようなことやめろよ………… 泣きそうになる。 「んじゃあ、落とせるもんなら落としてみろよ!」 苛立ち混じりの俺の声。 初瑪には不審に思われただろうけど、気持ちがバレなければそれでいい。 「2日後に勝敗だ、りぃ」 もしほんとに2日後に勝敗がつくならそれは遅い。もうとっくに勝敗は決まってんだよ。 「絶対負けねぇ……」 どう足掻いても俺の負け……ってな。

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