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悠義さんとご対面《2》
午後2時、家の前。
「初瑪様ぁぁ!!お迎えに上がりましたぁぁ!」
「うるさい、黙れ」
「そうですかそうですか!!私 が来て嬉しいのですね初瑪様は!!!」
「聞こえないのか、黙れ」
「もちろん聞こえていますよ!!初瑪様の声を聞き逃すなど私には有り得ません!!」
「なら、何故黙らない」
「初瑪様がお礼を言ってくださらないからです!」
「……ありがとう悠義 」
「ああああああ嬉しさでこの悠義は今すぐ死ねます!!!」
「なら、今すぐ死んでもかまわないぞ」
「初瑪様が死ぬまでは死ねませんので!!!」
俺が口を出す間もないくらいの、マシンガントーク。……す、すげぇ。さっきからそのマシンガントークを炸裂している人は、初瑪の呼んだ車を出してくれる人らしい。
キッチリとした黒のスーツを着て、綺麗に切りそろえられた黒髪、背は高く、顔も良い(と思う)。
パッと見の第一印象は真面目で冷静……という感じがする。
「初瑪様初瑪様ッ!!今日はどこまでお連れになればよろしいのですか?」
「隣町の図書館」
「隣町の図書館ですね!!わかりました!!どうします?お急ぎですか?お急ぎなら私なりの裏ルートを使いますが!!!」
「急いでない。それと、今日は裏ルートは使用禁止だ。わかったか」
「わかりました、初瑪様!!!」
パッと見は、な。
この一連の会話を聞いて見ていた俺としては、この男の人が初瑪信者としか見えない。
しかも重症な。
「……なぁ、初瑪。ちょっといろいろ説明足りてねぇからしてくんね?」
「あぁ、悪い。……それと、悠義は黙ってろ」
悠義と呼ばれた男の人は、首を一生懸命使って頷いていた。
「この変態は悠義だ。うちの家の使用人。まぁ、使用人と言うよりも俺の世話係みたいなものだな。俺が3歳の頃からはいると聞いている。俺が高校に上がってから一人暮らしを始めたが、呼べばこうやって飛んでくるヤツだ……」
ほ、ほう。
「悠義って名前?」
「あぁ、名前だ」
そう言うと初瑪は悠義さんの方を見て、言う。
「悠義、りぃに自己紹介」
「はい初瑪様!!」
悠義さんは俺の前まで来ると、アニメとかでよく見る執事さんがする綺麗なお辞儀をしてから話し出した。
「初めまして。私、初瑪様に使えて14年、楠家に使えて同様14年の悠義と申します。以後お見知りおきを。歳は35歳。初瑪様に初めてお会いしてから初瑪様一途でございます!初瑪様のためならたとえ火の中水の中!!無重力の中でも飛び込みましょう!」
やっぱ信者だ。絶対、初瑪信者だ!!!!
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