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悠義さんとご対面《3》

「すみませんが、貴方の名前を教えていただけますか?初瑪様がお友達と遊びになられる時に私をつかうのは初めてでして、少々緊張しております……」 緊張してこのテンションなのかよ! 「悠義、余計なこと言うな。挨拶は後でしてやるからとりあえず移動を始めろ。着くまでに30分はかかるだろう」 「いえ!初瑪様!車に乗ってはきちんとお友達様にお話が出来ませんゆえ!!もう少しだけ時間を下さいませ!!」 悠義さんも変なところ律儀だな!?  人の前で崇拝する方がアレだと思うよ??? 必死にペコペコしている悠義さんに初瑪は「早くしろよ」とだけ言い、黙った。 そう言われると悠義さんは俺を見る。 え?何で俺、見てんの? 「お名前、教えていただけますか?」 あ、そうだった。 「李絃です。篠宮李絃。初瑪とは同じクラスで仲良くしてもらってます」 「李絃様ですね!!初瑪様と仲良くしてくれてありがとうございます!!」  「あっ、いえ!李絃様だなんていいですから!!呼び捨てで!様なんてつけないで下さいっ!」 年上の人に様なんてつけられて、平然としていられるの初瑪ぐらいだと思う。俺には無理! 「わかりました、李絃さん。では、初瑪様!李絃さん!お車にお乗り下さい!」 そう言われて車に乗りこんだ。 「初瑪様!大丈夫ですか?ご気分など悪くされていませんか?」 図書館まで行く車の中。 何故か変な空気が流れている。 「……運転で気分は悪くなっていない」 「ほう、では初瑪様は何にご気分が悪くなっているのですか?」 「何故りぃを、お前の隣に座らせなければならない」 そう、何故か俺は悠義さんの隣……助手席に座っていた。てっきり初瑪の隣に座ると思って待機してたら悠義さんが「李絃さんは助手席に座っていただけますか?」なんて言うもんだから断れる訳もなく座ってしまった。 「いつもは誰も助手席に乗らないので、この機会ですから李絃さんとも仲良くなろうと!」 「お前とりぃが仲良くなる必要などないだろう!」 「ありますよ?」 「言ってみろ」 「これから長く李絃さんとはお付き合いすることになりそうですから。でしょう、初瑪様?」 えっと、悠義さん?長くって貴方の思っている長くと、俺が思ってる普通の長くって多分違う気がするのは気のせいですか? 「何故そう思う」 初瑪が聞いてくれた。 「それを今、私が言ってもよろしいのですか?」 「何が言いたい」 「なら、少しだけ言わせてもらいますね。初瑪様、よほど李絃さんのことお気に召してますよね。昔から初瑪様は気に入ったものは必ず手に入れますから……今回もそうかと思いまして」 やっぱりなんか長いのニュアンスが違った!! ……と、その前に。 悠義さん何か凄いこと口走ってない??? 俺は聞かなかったことにするよ?! 「あぁ、手に入れてやるさ……なぁ、りぃ?」 「このタイミングで俺に話し振らないでくれる?!今1番よくわかんねぇの俺だからね!!」 後ろを振り向くと、初瑪が笑っている。 うぐっ、わかっててやりやがったなコイツ!! 俺の気持ちも知らないで!! お前は本気の遊びかもしれねぇけど、俺はガチに恋しちゃってるんだよ!!そうやって……淡い期待させるような言葉ばっか言うなよな!認めたくなくてもこっちはお前に恋しちゃってるんだよ! したくなくても! …………後から泣きたくなるからマジでやめろよ。 「あっ、初瑪様!着きましたよ」 「そうか、早かったな」 「道路が空いていましたゆえ」 「ありがとう悠義、帰りにまた連絡入れる」 「わかりました。楽しんで行ってらっしゃいませ」 車は図書館に着いていて、俺も初瑪の後を追って降りようとすると、悠義さんに呼ばれた。 「李絃さん」 「何ですか悠義さん」 「貴方も素直に伝えてみればいいと思いますよ。 初瑪様は、貴方の気持ちをきっとわかってくれます」 「……え」 「では、またお迎えにあがります」 そういい、ドアが締められると車は発車してしまった。

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