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教えてくれ《2》side初瑪

「…………っ」 りぃは驚いた顔をしている。 たぶん口に出す予定はなかったんだろう……となると、これは心からの本心。ほんとお前は。 りぃに顔を近づけると、ぎゅっとりぃが目をつぶる。その反動でりぃの目に溜まっていた涙がポロっと零れた。 「……りぃ」 自分を保って……ここはりぃの言葉が聞きたい。 「何を、だ」 俺は望んでいる。 りぃが言うことと、俺が予想している言葉が同じだということを。そしたら、何かが変わる。 そう思うから。 りぃが意を決したように言葉を零す。 「…………キス…ッ」 目を逸らして言う、りぃ。 逸らした顔から、耳と顔が赤く染まっているのは丸わかりだった。 りぃ。 どうしていつも俺の想像の上を行く。 何も出来なくなる。自分を抑えられなくなる。 初めて…初めてこんな気持ちを抱いた俺には。 「無理だ……ッ!」 自分を抑えるなんて出来ない。 俺は俺であるしかないのだろう。 でも…… 「……ごめ……っ?!」 俺は、お前が好きなんだ。 「……んっ………ぅ……ぁふ……」 りぃの口を塞ぐ。前までは、キスするなんて深くなんて考えもしなかった。キスなんて俺の中ではただの手段で、それ以上のそれ以下でもないものだった。 世間一般がいう愛情表現のキスなんかじゃない。 ただ単に快楽を得るための手段の一つ。そんな愛のないキスで快楽を得れるわけなど、俺にはないが。 なら、今しているキスは何なのか。 こんなにも心が温まる、甘くて苦いこのキスは。 教えてくれ……りぃ。

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