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“こころ”があるから《2》

「何で…っ」 「俺の勝手だろう」 もう、俺には自分の気持ちも初瑪の考えも、何もかもわからない。 おさえ込んでいた涙は、じわじわと溢れてくる。 「もう終わりだ」 そう初瑪は言うと、部屋からでていく。 やだ……やだやだやだやだっ!! 終わりって何?何が終わるのさ! その言い方じゃ、俺たちが一緒にいた事さえなかったようになりそうで。 今、初瑪を引き止めないと。 ───後悔する。  「行くなよバカッ!!!!」 玄関で靴を履いていた初瑪に背後から思いっきり、言葉を投げつけた。 もう、涙なんて我慢出来なかった。 いつからこんなに涙脆くなったんだっけ。 ビクッと肩を揺らした初瑪が、振り返る。 「何故だ?」 何故って…… 「わかんない……けど」 「けど?」 初瑪は履いていた靴を脱ぐと、廊下の真ん中に突っ立っていた俺の前まで来て、気づいたように涙を拭ってくれた。 けど、行ってほしくない。 こんなに苦しくて、辛くて、1日中一人の人のことばっかり考えることなんて今までなかった。 意地悪なのに、俺様なのに、自分主義だし、変態だし、すぐキスしてくるし、りぃって呼ぶし。 嫌なことばっか……だったのに。 絶対友達になれるタイプじゃないなって。 仲良くなれるタイプじゃないなって思ってたのに。 優しくって、実は気遣いできて、変なところで律儀で、カッコよくて、好きなことしてる時の顔がすっごく嬉しそうで。 あぁ、もうわかんないことばっか! 「全部初瑪のせいだバカァァ!!!!!!」 「泣きながらバカバカ言われても、わかんないんだが……何がいいたいんだ?」 初瑪が俺の頬に手を添えながら、目を細めて笑う。そんな聞きたくないような、辛そうな顔してるのに……何で笑ってるんだよ。 もう止められないじゃんか。

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