「だーかーらー！！！」 わがままなのはわかってる。だから、なに言われてもなにも言わないから……っ！伝えることくらい許してくれよな。 「好きって言ってんだよ！！！」 初瑪の目が見開く。 「りぃ……」 一瞬嬉しそうな顔したのに、初瑪はまたすぐその表情を隠して俺にいう。 「……悪かった。俺が勘違いさせたな。恐怖などの危機感を刷り込まれて、逆らえなくなって、それを優しさで埋めて……そうやって俺がりぃに“俺は恋してる”と、錯覚させるようなことしてしまったんだろう……だから、りぃの気持ちは──」 ほんとにバカッ。 「あのな！！それで隠せてると思ってんの？今日の初瑪めずらしく感情タダ漏れなのわかってんの？」 バカバカバカバカッッッ！ 「例え錯覚とか刷り込みだとしても、俺は好きって言ってんだよ！！初瑪に会ってから、ずっと初瑪の事ばっか考えちまうんだよ！！意地悪だし！変態だし！俺様だし！キスしかしねぇし！！！」 でも 「それでもいいかなって思っちゃったんだよ！好きな人誰？って聞かれて、すぐに初瑪の顔思い浮かんじゃうくらい俺は好きなの！！！ほんとは優しいのだって知ってるし、いいヤツってことも知ってる！だから俺は初瑪が好ｯ─────」 言えなかった。 いつの間にか頬にあった手は消えて。 それに比例するかのように2人の距離も消えた。 そして、温もりが添えられる。 ────そっと触れるだけの、キスによって。 「りぃ、自分がなに言ってるのかわかっているのか？」 「わっ、わかってるよ！！」 恥ずかしいことさっきから口走ってんのはわかってるし！！今にも爆発しそうなくらいなんだよ！ 「りぃの“好き”はどういう意味の好きだ？」 その目は絶対わかってる。 でも、いつも思い通り動いてやるほど、俺は素直じゃない。 そう“こころ”があるんだから、な。 「───月が綺麗ですね」 そう言って、背伸びしてチュッと初瑪にキスをしてやった。何をされたかわかってない、ちょっと面白い顔になってる初瑪に言ってやる。 「…って、意味の“好き”」 目に涙溜めたまま全力で笑ってやれば 「───ずっと前から月は綺麗だろ」 何て返ってきて。 初瑪らしくって、また笑ってしまう。 そのままぎゅっと俺を抱きしめるから、俺も抱きしめ返してやれば、より力を込めてきて。 「俺もりぃが好きだ」 そう、俺に言葉をくれた。