171 / 174

初めての好き《2》

「目、瞑っていろ」 言われた通りに目を瞑り、視界をシャットアウトする。ドキドキ鳴る、心臓がよりうるさく感じる。 「……りぃ」 それが合図だったらしく、そっとキスをされる。 触れ合わせるだけのキスから、角度を変えて啄むようなキスをされ。それだけなのに、思考は溶けそうになる。 「……っ……ふ…ぁ……」 酸素が欲しくて口を開ければ、逃がさんとばかりに初瑪の舌が、するっと入ってくる。 ほんとっ、俺は学習しないね!! 「……んんっ……ぁふ…っ……ぁ」 口の中をくるりと1周舌が這わされ、俺の逃げ回ってい舌にその舌を絡みつけられる。 クチュクチュと漏れる水音と、熱い吐息。 ダイレクトにくるその刺激に、立っていられなくなって初瑪の服を掴めば、初瑪が片手を腰に回し、もう片方の手を俺の後頭部に回す。 何度か息を吸えたけど、そんなのもう考えられないくらい思考は溶けていた。 「…ふっ……ぁっ、ん……んんっ……」 きもちい。 幸せ。 好き。 それだけが脳内を巡る。 「……んんっ、っ!」 舌を吸われ、2、3回甘噛みされるとピリピリと身体にしびれが走る。チュッと小さな音とともに唇が離れ、空気が舞い込む。吸えなかった充分な空気を吸い、呼吸を整えながら初瑪を見る。 あぁ!見なきゃ良かった!! その熱っぽい瞳は真っ直ぐに俺を捕らえていて。 捕まった俺は視線を逸らすことが出来ない。 心臓が、うるさい。 「りぃ、何そんな見つめているんだ?」 見つめているんじゃなくて、目が離せないんだよ。捕えられて、逸らすことが出来ないんだよ! ……初瑪はそれを知っていながら、言ってるだろうけど。 「……ん?もっと、欲しいか?」 「なにが?」 「キス」 その言葉でさっきまでのキスを思い出し、顔が熱くなる。あんな溶けるようなキスなんて、そんな沢山出来るもんじゃない!!無理!無理です!! 俺がおかしくなりそうだから!! 「いっ、いらない!!!」 「フッ、そうか。……なら、戻るか」 「えっ、帰るのかよ?」 「帰るわけないだろう。戻るだけだ」 「戻る?」 「りぃ、ベットに行こうか」 正直、逃げた方がいいんじゃないかと思ってしまった。

ともだちにシェアしよう!