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不法侵入者の理由《1》side初瑪
「楠またな!」
「ん。またな」
高校2年生に上がる始業式が終わり、みんなわいわいとしている。
まぁ、俺には関係ない。
俺はまぁ、あれだ。人をいじめるのが好きだ。
こう言うと変なふうに聞こえるだろうが、要するに好きな人ほどいじめてしまうタイプのやつだ。
たぶん………………
興味ないやつには基本関わらないようにしている。逆に興味あるやつにはとことん関わる。
なんて面倒くさい性格だろう。
まぁ、本気でこいつだ!ってやつにはまだめぐりあったことがないが。気になるやつは別として。新しいクラスには、あーだこーだいうことは無いが、しいていうなら少し話してみたいやつと同じクラスになった。少し楽しみだ。
自分でいうのはなんだが、俺はクラスが変わって友達がいないとかいうのには苦労しない。
自然と人が集まってくる。たぶんこの容姿のおかげだろう。正直、あまり嬉しくない。
「帰るか…」
そう呟いて俺は歩き出す。
新学期…特にこの時期はあまり好きじゃない。
なんていうか自分が嫌いになる。
考えるのをやめるか。何もいいことはない。
考えてボーっとしていたせいか、誰かとぶつかってしまった。慌てて振り向き「すみません!」と、謝ったがそこにはもう後ろ姿しか、残されていなかった。
あ、いや。違うな。
ぶつかってしまった人のであろう手帳が地面に残されていた。
「んと」
その手帳を拾い、中を開き、ペラペラとめくる。人のだからあまり詳しくは見ないようにすると、後ろのほうに住所の書いてあるメモと学生証が入っていた。
あ、こいつ馬鹿だ
こんなもの落として。
悪いやつに拾われていたらどうするのだか……
しかも何か硬い感覚がして、手帳のカバーの中を覗くと鍵が入っていた。
あ、うん。
たぶんこの流れだと家の合鍵だな。
こいつ相当の馬鹿だ。
「届けに行くか……」
どういうことかぶつかったのは俺と同じ学校の、俺が話して見たかったやつのようだ。
ついでに聞きたいことも聞こう。
そう俺は住所が示すアパートへと向かった。
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