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不法侵入者な理由《2》side初瑪
偶然かは知らないが、そのアパートはあまり俺の家から遠くはなかった。俺の住んでるところから歩いて10分くらいの距離にあった。
「…ここか」
そのメモには丁寧に部屋番号まで記入されていた。
んだよこのメモ。
悪用してくださいっていっているようなものだろう。
馬鹿だ。ほんと相当馬鹿だ。
階段を上り、目的の部屋のインターホンを鳴らす。
ピンポーン
ピンポーンピンポーン
「…いないのか」
こうなったら仕方がない。
馬鹿な合鍵を使わせてもらおう。
不法侵入になるだろうがどうせ明日からは確実に知り合いだ。ましてや、俺は親切に落とし物を届けにやって来たんだ。
最悪脅そう。
合鍵を取りだし、鍵穴にさす。
ガチャ
と心地いい開く音がなる。
「…お邪魔します」
と言っても返事はない。逆にいたら困る。
玄関は綺麗に整頓されていて、一人暮らしの男子高校生の家とは思えないくらいだった。
靴を脱ぎ、玄関に座り込む。流石に部屋とかに入るのは危ないので玄関先で待つ方がいいだろう。
…玄関を開けて、いないはずの人自分の家にがいたらさぞかし驚くだろうな。
そう驚くのを想像すると少し面白く思える。
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