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あぁ、もう終わったわ…《1》
「すみませんもう一回いいですか?」
「お前小説家だろ?」
「すみませんもう一回いいですか?」
「…ったく、だからお前小説家だろ?」
「すみませんもう一回いいですか?」
「黙れ馬鹿…!」
take3までしてしまった。
いやいやいや何でしってんの?
俺、碧と親以外にいってないよ。
え?
学校でたまにノーパソで書いてるけど、全部遅い時間に図書室の隅っこでだし。
というか、普通の男子高校生は学校に自前のノーパソ持ち込まないのか。
それは置いといて、今はこれだ。
「………俺、小説とか書くタイプに見える?」
「残念ながら見えないだろうな。いかにも現代男子高校生の標準だ。ゲームや恋やらなんやらに励む感じだな」
「だろ?そんな俺が小説家だと思うか?」
「思うが」
「おい!会話のキャッチボールしようぜ⁉」
まずい。流石にまずい。
高校で俺が小説家ってばれたら、俺の高校生活終了の鐘が鳴り響くの決定だよ。
やめてくれ。
ただでさえ小説とか書くような顔してないんだから。やめてくれ。
中学の時に
「李絃ってさ、小説とかそういう文章系のもん何にも読まなそうだよな~!漫画ならめっちゃ読んでそうだけど、文章系は教科書だけって感じするよなwww 」って言われてるんだよ!
その時既に、小説を書き始めていた俺の心を考えてみろ。泣きたくなるだろ。
外っ面からしたら俺はそんなタイプじゃないってわかってたんだけどね。うん。
中学の時は、ゲーセン行ったり、海ではしゃいだり、碧とちょっとした慈善活動で路地裏で運動したり、そんでもってその活動でいつの間にか恐れられてる有名人になってたりと ………………んまぁ、そんなんだったし。
要するに、俺はタイプと違うっていわれるのが嫌と言う理由でばれたくないのだ。
あと、めんどくさい。
ちなみに俺が小説家ってしってんのは、母さんと父さんと碧だけ。
「とにかく俺は小説家なんてもんじゃないから」
「まだ否定し続けるのか。…俺が拾ったのはなんだ?」
「俺の手帳…?」
「じゃあ、わかってるじゃないか」
「…わかってるって何をだ……あっ」
手帳には小説のネタやキャラのプロフィール、次の原稿締切日なとが書いてある。
書いてあるよ???
んで楠はその手帳を見て俺の家までやって来ました。
皆さんおわかりですか?
ハイ。
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