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初瑪くんのおやすみ場所は?っと《3》
しかし、汚い!
極めつけは壁から壁へと繋がっているビニール紐。天井一杯にある程度間隔を広くとって、張り巡らされている。これはですね、はい。
描いたラフとかを木製のクリップとかを使ってぶら下げて乾かすんです。下に置いてるとうっかり踏んで、ぐしゃってなってボツにしたくないってのもあるんだけどね。
うん。わかって………!
俺は恐る恐る初瑪の方を向くと、初瑪は案の定怒っ……………てない!?
え??
怒ってない!?
「りぃ!」
「はっ、はいッッ!」
「この部屋散らかっているがなんか好きだ」
初瑪がキラキラしたまるで遊園地の遊具をちっちゃい子がみたみたいな顔でそんなことをいってきた。
「はへ?」
「ほんとに小説を書いてるって感じがして好きだ」
「そ、そうですか?」
「あぁ!だが、これじゃあここで寝れないな。俺はリビングにあったソファーで寝る」
「ってダメだから!そんなところで寝ちゃ首痛める!ダメ!」
「じゃあ、俺がここで寝…「ダメに決まってるだろーがっっ!」
よくわからないけど…気に入ったのかもよくわからないけど、とりあえずここで寝るのだけはやめましょうね、初瑪くん!
「じゃあ、寝るまでここにいたい」
「汚部屋に?」
「小説部屋に」
「俺、小説書いてるけどいいか?」
「かまわない。俺は本棚でも漁らせてもらう」
「嫌だっていったら?」
「俺の言葉は“絶対”だろう?」
「…………………どうぞ。ごゆっくり」
「ありがとう、りぃ」
初瑪は満足そうに汚部屋の中に入っていった。
俺も、ソファーの上に放置していたままのリュックからノーパソを慌てて持ってきて、中央のテーブルに設置し、ペンタブの電源も入れておく。この部屋はこの家でリビングキッチンの次に大きな部屋だ。
かといっても汚部屋なのでわかりにくい。
大家さんすみません………俺がこの家を出るときは、めっちゃ綺麗にしてご返却致します。
「んと、設定集どこだ、どこだっと…」
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