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初瑪くんのおやすみ場所は?っと《4》
時刻は12時を少し回り、いつのまにか明日が今日なっていることに気がついた。
「…んぁ~」
パソコンから手を離し、上にグッと伸びをする。少しの時間でも集中すれば普通に書ける。
今回はいまのところ〆切にも間に合いそうなのでそんな慌てて書くことでもない。
「初瑪…寝よ」
初瑪は小さな机でずっと本を読んでいた。
時々、俺の方を見ていた気がするけどそれ以外はずっと視線が本に向かっていた。
すげぇ集中力。
初瑪は読んでいた本をぱたんと閉じると元にあった所に戻し、俺の方を向いた。
「もういいのか?」
「うん。〆切ヤバいって訳じゃないし、それに本業は学生だからな。睡眠は大事だぞ!」
「そうか。お疲れ、りぃ」
「あ、ありがと…」
いつも一人で書いていて誰にもそんなことを言われることがなかったから、少しどうしていいかわからなくなってしまった。
小説は俺が書きたくて書いてるから別になんとも無くはないけど、なんか少し嬉しかった。
そんなことを言った初瑪は「ふぁふ」と小さく欠伸を漏らしていた。
「じゃあ、初瑪の寝るとこは出てすぐの部屋だからわかるよな?自由に使っていいからな」
「あぁ」
「んじゃ、おやすみ~」
そういうと初瑪はしばらくその場にとどまり、少し考えているそぶりを見せ、数十秒たつと結論が出たのか、口を開いた。
「一緒に寝るか?」
「は?」
ごめん。
俺の聞き間違いかな?
今、一緒に寝るか?って言われた気がするな?
「……なんか申し訳ないような気がしてきたから。この部屋じゃ、寝るに寝れないだろう。だからそういう結論に達した。」
「俺のことを考えてそうなったと?」
「あぁ」
変なところで律儀なんだよこいつは!
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